新年度の生活にも慣れて、そろそろ新しいことを始めたい時期。手帳の使い方を見直すことも、仕事や生活の未来を描く方法の一つです。そんな手帳に関するトークライブ「夢を叶えるための『サブ手帳活用術』」が、3月28日に天狼院書店で行われました。登壇したのは「朝活手帳」をプロデュースする朝6時代表取締役の池田千恵さんと、2017年12月に「自分への取材手帳」を発売した作家・ブロガーのはあちゅうさん。お二人は手帳をどのように使いこなしているのでしょうか? イベントのレポートを、前後編に分けてお届けします。

手帳の「複数持ち」が夢を実現する第一歩になると話す、池田千恵さん(左)と、はあちゅうさん(右) 提供/天狼院書店
手帳の「複数持ち」が夢を実現する第一歩になると話す、池田千恵さん(左)と、はあちゅうさん(右) 提供/天狼院書店

手帳を複数持つ人が目立つように

 2011年から「朝活手帳」をプロデュースしていた池田千恵さんは、そのエッセー部分を再編集した「朝の余白で人生を変える」を2016年に発売しました。はあちゅうさんは、2007年より「週末野心手帳」を村上萌さんとプロデュース。2017年12月には「自分への取材手帳」を発売しています。

 池田さんの「朝活手帳」は朝4時から9時までのスケジューリングに特化した手帳です。はあちゅうさんの「自分への取材手帳」は自分を知るための手帳として、質問に答えたり、気付いたことを記録していくというもの。この二つに共通するのは「2冊目の手帳」になることです。

池田千恵さん監修の「朝活手帳」縦184mm×横128mm×厚さ10mm/ディスカヴァー・トゥエンティワン
池田千恵さん監修の「朝活手帳」縦184mm×横128mm×厚さ10mm/ディスカヴァー・トゥエンティワン

 「私の肌感覚ですが、3~4年前までは、手帳を何冊も持つという考えはありませんでした。最近は複数の手帳をカジュアルに持ったり、用途別に使い分けることが多くなっていると感じます」と池田さんは語ります。

 はあちゅうさんも、予定の管理にはグーグルカレンダーを使い、夢や願望は「週末野心手帳」や「自分への取材手帳」、持ち歩いているノートなどに書くという、複数の手帳を使うスタイルを実践。その理由は、デジタルだと「to doは分かっても、未来へのwantが湧いてこないから」だといいます。

「みんなデジタルには慣れたけれど、足りない部分を感じていると思います。夢や願望は、予定とは別に書いていかないと届く気がしないので、手書きでサブ手帳に書いています」(はあちゅうさん)

 池田さんも、「未来を作っていきたいというような、攻める姿勢になることはアナログの手帳に書いています」とのこと。お二人とも、将来に向けた内容はアナログの手帳に書いた方が良いと感じているようです。

「書くこと」で気づけることがある

 池田さんは、アナログの手帳に書き出すメリットの一つとして、「消した痕跡が残ること」を挙げています。デジタルの手帳は予定を消せますが、迷った過程が見えなくなってしまいます。アナログを含めた複数の手帳を使うことで、思考を広げられるそう。はあちゅうさんは「見返すこと」ができるのが、手帳の大事な活用法だと語ります。

 「会社でも半期ごと、1年ごとにフィードバックの時間があるように、自分のこれまでの動きを見直して見つめる時間が必要だと思うんです。デジタルでもピンポイントなことは思い出せますが、そのときに何があってどんな気持ちだったのかは、紙の手帳のほうが出てくる気がします」(はあちゅうさん)

 情報過多な現在において、自分を見つめ直したい気持ち、上質な時間を求めたい気持ちが広まっているのではないかとはあちゅうさん。池田さんも、自分の心の機微を明らかにする大切さを語ります。

 「ネットをずっと見ていると、ネットで影響力がある人の意見を自分の意見かのように思いやすいのですが、その意見が自分と同じかは分かりません。自分の心の内を明らかにすることは、今の時代に必要なのかなと思っています」(池田さん)