「知識のアメーバ化」で理解が深まる

 次に河合さんは「穴をあけた箇所のワードについて疑問に思ったことを、調べてみましょう。パソコンやスマホで検索をかけてみるんです」と、検索方法をレクチャー。

 たとえば、(1)の問題の【        】に入るワード。ここには「エスタブリッシュメント」が入りますが、「エスタブリッシュメントって、そういえばどんな意味?」という疑問が浮かんだとしたら、「エスタブリッシュメント」で検索をかけてみます。

 ウィキペディアを閲覧すると、「社会的に確立した体制・制度」「支配階級」を意味する言葉だということが分かりました。

 「エスタブリッシュメント」という言葉の意味は分かりました。しかし、「この文にあるエスタブリッシュメントは具体的に何を指しているのだろう?」という次なる疑問が湧いてきます。

 そこで「エスタブリッシュメント 米国」「エスタブリッシュメント トランプ」といったワードでアンド検索をかけます。「ああ、この場合は、保守本流のことを指すんだ」ということが分かってきます。さらに「保守本流 トランプ」などと検索をかけると、対抗候補者の名前が挙がってきて、アメリカ大統領選挙戦の体制が見えてきます。さらに、対抗候補者の名前を検索すると、その候補者の詳細が分かってきます。その次は、その候補者の党を検索してもよいでしょう。このようにして、芋づる式に、知識の裾野を広げていきます。

 「一つの知識を分裂させ、かみ砕くプロセスを“知識のアメーバ化”と呼んでいます。湧いて出てきた『?』を丁寧に拾い上げて調べ、アメーバ化させて広げていく。後日復習するときには、新たなポイントで『?』が生まれるかもしれませんから、そうすればまた調べます。『?』が生まれるたびにアメーバ化が進み、知識が深化していくんですよ」と河合さん。

 同じ文章でも、どこを【        】にするかは人によって違うもの。しかも、たとえ同じキーワードを【        】に入れたとしても、アメーバ化の方向性には個性があらわれます。

 その証拠に、レクチャー中にたまたま同じ【        】について検索をかけた人もいましたが、アメーバ化によって得た知識はまったく違うものでした。

 「アメーバ化には、一人ひとりの志向や価値観、専門性などが反映されます。こうして独自に知識を深めていけば、それがあなたの強みになっていくんです」。