お金の使い方の「自分軸」を見つけよう

 とはいっても慣れるまでは、どれが消費でどれが浪費なのか、投資に当たる支出はどれか、分類に迷うことが多々あるでしょう。

 ですから、一つひとつの支出を見直して、「自分にとって有意義なお金の使い方ができているか」、考えて判断しなければなりません。

 「自分がどう感じるか」が最大の判断基準になるため、どうしても判断が甘くなってしまう人もいるでしょう。実際、私が家計簿をチェックすると、「それは消費ではなくて、浪費では?」「投資ではなくて、消費では?」と思うことも多々あります。

 例えば、浪費に分類するのが後ろめたくて、つい消費や投資に分類してしまう人、飲み代や化粧品代、美容院代など、何も考えずに投資に分類する人をよく見かけます。

 でもこんなふうに自分に甘い判断をしていると、お金の使い方は改善されませんし、永遠にお金は貯まりません。

 とにかく、「自分のお金の使い方を見直して、考えて、分類する」を続けることが大切です。そうしていくうちに、徐々に「おやつ代は消費じゃなくて、浪費だな」とか、「化粧品代は投資に分類していたけれど、お金を使い過ぎているし、浪費だな」と自分自身で正しい判断ができるようになってくると思います。

 さらに続けていけば、何か買いたいと思ったとき、「これって浪費なんじゃないか?」「本当に必要なのか」と自分に問いかけながら、買い物ができるようになります。

 お金の使い方に対する「自分軸」ができるのです。その軸を守ってお金を使えば、自然に、「消費70%・浪費5%・投資25%」という理想に近づいていくでしょう。

「投資」を考えると、なりたい自分が見えてくる

 消費・浪費・投資という三つの分類を利用して、お金の使い方を見直すと、自分の生き方を見直すきっかけにもなります。

 特に「投資」を、自然と「生きていく中で大切にしたいことは何か」「将来、どんな自分になっていたいか」など、自然に自分の人生を考え直すことにつながるはずです。

 今まで、「投資」というお金の使い方について、考えたこともなかった人がほとんどだと思います。実際、「投資」をしている人も少ないでしょう。

 けれども、「消・浪・投」を理想の配分に近づけようとすれば、投資の支出を増やさざるを得ません。つまり、浪費や消費を減らして、投資を増やすためにはどうやってお金を使えばいいのかを考えるようになります。すると、自分が大切にしたいこと、やりたいことが見えてきて、「生きたお金の使い方」が身に付いていくのです。

 私は、そういう人たちをたくさん見てきました。

 資格を取り、やりがいのある仕事を手に入れた人。転職をして給料がアップした人。また、今まで友人や彼氏など、人付き合いのためにお金を浪費していたけれど、自分のためにお金が使えるようになったという人もいました。それだけでも、大きな進歩です。

 お金はあなたの生き方を映す鏡でもあります。お金がしっかり管理できるようになれば、人生のマネジメントもうまくできるようになると思います。

マンガ/桜こずえ、文/横山光昭

第1回 貯金は「節約」の意識でやるのはNG
第2回 支出から見える 自分のお金のクセと体質
第3回 貯金生活するならクレカとどう付き合う?
第4回 お金管理の第一歩、「消・浪・投」って何?(この記事)
第5回も近日公開

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