「やらないこと」を決めておく、「頼む力」をつける

――仕事にはストレスがつきものです。漆さんはどのようにストレスと付き合ってこられましたか?

 自分が20~30代のときは、仕事に没頭し過ぎてストレスの存在を自覚すらしていないような状態でした。ストレスを感じていると認めるのも嫌で、無理やり封印してきました。でも、体調を崩したことをきっかけに、ストレスを認め、うまく付き合うことも大切だと気付きました。

 働いていると本当にいろいろなことが起きます。頑張れるときには頑張るけれども、弱ったときの対処法をいくつか準備しておくことも大切だと思います。グチを言い合える友達と会う、集中できる趣味を持っておく、気分転換できる場所を決めておく、など自分なりの「ゆるめ方」を事前に考えておくとよいでしょう。

 自分の力は無限ではありません。一人でできることには限界があるので、勇気を持って上手に人に頼むことや、弱みをさらしてシェアすることも時には必要です。弱みを見せることがチームを強くするきっかけになることもあります。

 また、「やらないこと」を決めておくのも大事です。「断ること」は意外と難しく、先に意思決定して断り方を決めておかないと、その場でとっさには断れません。本当に自分がやりたいことを見極めておけば、やらないことも見えてきます。

「弱ったときの対処法を準備しておくことは大切なことです」
「弱ったときの対処法を準備しておくことは大切なことです」