「コミュ力“高”=仕事がデキる」ではない

稲田 当時からネタとして昇華させていたんですね。今って、自己主張が強くて高いコミュ力を持つ人が仕事のできる人であり、人気者であると思いがちです。そんななかでご自身を「コミュ力偏差値42」と分析するなめ子さんが大活躍されているわけですが、その理由はなんだと思いますか。

辛酸 昔は業界人の飲み会に顔を出していろんな人と関係を築かないと仕事がもらえないと思っていました。でも実際はそんなに飲み会なんて行ってないですし、たとえそういう場で盛り上がったとしても、仕事に結びつかないことなんてしょっちゅうです。だから仕事という面で意識しているのは、締め切りを守るということくらいで……。

「コミュニケーションを広げても仕事に直結しないことはしょっちゅう」
「コミュニケーションを広げても仕事に直結しないことはしょっちゅう」

稲田 いや、それすごく大切なことだと思います。特にライター界隈では平気で締め切りをぶっちぎる⼈が多い中で、きちんと約束を守ってくれる人にお仕事が巡っていくってことなんでしょうね。

 後編は、明日公開予定です。

文/小泉なつみ 写真/清水知恵子

対談者プロフィール
辛酸なめ子
辛酸なめ子(しんさん・なめこ)
1974年東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。女子学院中学校・高等学校を経て、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。恋愛からアイドル、スピリチュアルまで幅広く執筆。著書に『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)、などがある。

稲田豊史
稲田豊史(いなだ・とよし)
編集者/ライター
キネマ旬報社を経て2013年にフリーランス。単著に『セーラームーン世代の社会論』、企画・編集に『ヤンキーマンガガイドブック』、構成担当として『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(ともに原田曜平・著)などがある。雑誌「サイゾー」誌上で「オトメゴコロ乱読修行」、「ZDNet Japan」で「ITは『ひみつ道具』の夢を見る」を連載中。ホームページ:http://inadatoyoshi.com

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【修正履歴】プロフィール欄を一部修正いたしました。(2016年12月7日)