20代後半から30代にかけて、起業・結婚・出産・離婚・再婚と、怒濤(どとう)の人生を歩んできた女社長・川崎貴子さん。2016年10月に「乳がん」が発覚した際には、自身の乳がん体験を記した書籍「我がおっぱいに未練なし」のタイトル通り、迷わず「右乳房の全摘」を選択しました。この潔い決断力は、どうやって培われたものなのでしょうか? 川崎さんの人生や考え方などを伺いながら、決断力を磨く方コツを、前編と後編に分けてお届けします。
「働く女性の成功・成長・幸せをサポート」するために起業
「働く女性の成功・成長・幸せをサポート」という理念を掲げ、25歳のときに起業しました。この理念にたどり着くのはすごく大変で、自分が大切にしていることをノートに書き出したり、ヒアリングしてもらったりしながら、完成までには3カ月ほどかかりました。会社の理念と実際の事業内容がずれていると、社員にもお客様にも浸透しません。ですから、じっくりと時間をかけてつくり上げました。
大変な作業でしたが、理念をつくった後は「決断」がしやすくなりました。「働く女性の成功・成長・幸せをサポート」すると決めて、これを判断基準にすれば、理念に沿う仕事だけを迷わず選べるようになったからです。そして周りには、理念に共感してくれる方々が集まるという好循環が生まれました。
つくってから発見、理念は自分の「欲望」だった!
理念ができたときに、気付いたことがあります。実は「働く女性の成功・成長・幸せ」というキーワードは、私が起業する前に持っていた、自分の「欲望」だったんです。つくっているときには意識していなかったんですが、つくった後に、「これは私が昔から手に入れたかったものだ」と気付きました。
私はずっと、「仕事で成功すること」「常に成長できるステージにいること」「プライベートでの幸せもつかむこと」を望んでいました。子どもも、「いつか絶対に産みたい」と思っていたんです。そして25歳のときに、女性のための人材コンサルティング会社を起業。その後、結婚して長女を授かりましたが、結婚から2年後に離婚しました。
離婚は、私にとって大きな決断でした。なぜなら私だけでなく、娘の将来にもかかわることだからです。ただ、私の中には「こういう状況で子どもを育てたい」というビジョンがありました。親が無視し合っていたり、いがみ合ったりしているような家庭で、子どもを育てたくない。理想の家庭像を、明確に持っていたんです。そのため、厳しい決断ではありましたが、離婚を選択しました。
私は仕事でもプライベートでも、自分の「欲望」がはっきりしているほうだと思います。「決断」という分野においては、自分の「欲望」を知っておくことは大切です。迷いやすく、決断するのが苦手だと感じている人は、まず自分の「欲望」を知ることから始めてみるとよいですよ。