どんな人と一緒にいたいと思う?

 陣治を嫌悪していながらも、共に暮らす十和子。しかし、心の底では陣治との生活を心地よいと感じているのではと思うシーンも。

 蒼井さんは、どんなとき、どんな人と一緒にいたいと思うのでしょうか。

私に期待しないでいてくれる人がいい

 「私に期待しないでいてくれる人がいいですね。期待されると、応えよう、その期待を超えたいと思ってしまう。すると自分がしんどくなってしまうことがあるので」

 人は誰かのために生きているのでなく、自分のために生きています。しかし、相手に期待するとは建前の話で、本当は自分の理想の人になってほしいと思う身勝手な考えを持つ人もいることは確か。勝手に期待されて、勝手に失望されるのは、ストレス以外の何物でもありません。

 「仕事の場合は期間が決まっていることが多いので頑張れるんですけれど。恋愛とか人間関係だと一生ものになってくるので、そんなに頑張りは続かないと思っています」

 目標や目的がはっきりしていないものに対し、どれだけ頑張れるか。個人的な成長のために努力をするのとは訳が違います。蒼井さんの一言に、自分は相手に何かを押し付けていないだろうかと考えさせられました。

男性を格好悪いと思う瞬間は?

 本作には、ゲスで最低な男ばかりが出てきます。蒼井さんにとって、男性が1番格好悪いと思う瞬間はどんなときでしょうか。

察してほしい、って態度は苦手

 「察してくれって態度を出すときですね。私も察する努力はするけれど、察してくれって態度を出すのであれば(言葉にして)言ってほしいと思ってしまいます」

 相手の考えていることなんて、正直分からないもの。相手がどう思っているかを全部理解することは、不可能に等しい。でも蒼井さん、ただ口に出すことで解決するものでしょうか?

 「私は全部口に出します。自分の中で漠然とした悩みがあったとして、なんかモヤモヤしてしまったら、『今、私はモヤモヤしてる』ってきちんと伝えます。モヤモヤしてるってことを伝えても、相手は結構平気だったりしますよ」

 モヤモヤを抱えていると、それが勝手に膨らんでいくことって誰しも経験があるはず。でもそのモヤモヤしている時間って、ムダな時間かもしれません。

 あえて正直に口に出すことで、日ごろのモヤモヤを解決している蒼井さん、映画の中の十和子のような、屈託のない笑顔も垣間見えた楽しいインタビューでした。

聞き手/文・永井勇成 写真/小野さやか

【作品情報】
「彼女がその名を知らない鳥たち」
(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
出演:蒼井優 阿部サダヲ
松坂桃李/村川絵梨 赤堀雅秋 赤澤ムック 中嶋しゅう/竹野内豊

監督:白石和彌
原作:沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫)
配給:クロックワークス
(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
10月28日(土) 新宿バルト9他全国ロードショー
公式サイト:http://kanotori.com