会社員として二度の転職を経たのち、作詞も手がけるようになったジェーン・スーさん。前回の記事(「元会社員」ジェーン・スーが語る 意外なキャリア観)では、会社員として働いていた軌跡を追いました。そんな彼女に、ラジオ番組からの出演依頼が舞い込みます。何がきっかけで、現在のような活躍ぶりをみせるようになったのでしょうか。

ジェーン・スー

コラムニスト/ラジオパーソナリティー/作詞家

音楽クリエイター集団agehaspringsでのプロデュースや作詞家としての活動に加え、自意識をこじらせた大人たちへのパンチラインが話題を呼び、2013年10月『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)を出版。2作目の『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)が第31回講談社エッセイ賞を受賞。
2016年4月よりTBSラジオ番組『ジェーン・スー 生活は踊る』(月~金11:00~13:00)でパーソナリティーも務める。
最新著書『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(文藝春秋)が発売中。

38歳で初めてのラジオ出演

――ラジオのお仕事を始めた経緯について、詳しく教えてください。

 初めてラジオに出たのは、2011年の5月、38歳のときです。友人がパーソナリティを務めていたTBSラジオの音楽番組に「ジェーン・スー」の名前でゲスト出演しました。

 作詞活動ではすでにこの名前を使っていましたが、メディアの前で話すのはこの時が初めて。「アラサー女子」をテーマに、私がおすすめの洋楽をセレクトしていろいろ喋るというコーナーだったんですが、その放送を聞いていた同局の別番組のラジオプロデューサーが私に興味を持ってくださったようで、彼が担当する新番組へスカウトされたんです。

 そのプロデューサーには作詞を担当していたアイドルの資料を渡したことがあって、もともと顔見知り。彼の仕事での活躍ぶりも知っていました。だから「この人が言うなら信じてやってみよう」と思い、オファーを受けました。社長から作詞を勧められたときと同じですね。その年の秋に、レギュラー出演する番組『ザ・トップ5』が始まり、週1回、ラジオの前で喋ることになりました。

ラジオも書籍も、数字は大事

――現在もレギュラー番組をお持ちですね。

 2016年の4月からは平日昼の帯番組『ジェーン・スー 生活は踊る』を担当しています。

 今は43歳なので、ラジオ初出演からは5年くらい経ちましたね。月~金でTBSにいるので「TBSラジオに再就職したつもりだ」って人には言っています。

――帯番組のパーソナリティとして、目標にしているものはありますか。

 今の目標は、担当するラジオ番組の認知度を上げること。聴取率(ラジオにおける視聴率調査のようなもの)も気にしています。書籍もそうですけど、数字は大事ですよ。「売れなくても分かる人にだけ分かればいい」なんて思ってはいません。売れないと、表現したいことが、結局誰のところにも届かなくなってしまうので。

 でも、ラジオで喋らせてもらっていることとか、エッセイを買って読んでもらえることとか、今の状況はちょっと異常事態だと思っているんです。「筆一本、マイク一本で食べていく!」 という覚悟や気負いはない。どんな仕事でも食べて行けるようにしないと、という考えは常に頭の片隅にあります。