広告代理店を舞台にした漫画「サプリ」(祥伝社)作者のおかざき真里さんと、WEB編集者の中川淳一郎さん。電通過労死事件以降、長時間労働がよりいっそう問題視され、社会はそれを改める方向へと進んでいますが、まだまだ課題が山積みです。そこで、過酷な現場を経験し、今も「働き方」について考え続けているお二人からアドバイス。最終回の今回は、尊敬するロールモデルの見つけ方についてです。聞き手は河崎環さんでお送りします。

第一回 過酷な現場での働き方
第二回 忙しい女の恋愛は○○が鍵
第三回 仕事で罵倒されたことありますか?自己肯定感保つ方法(この記事)

【第三回】自己肯定感を失わないために

「サプリ」の最後には、女性たちはみんな幸せになれたのでしょうか (C)おかざき真里/祥伝社フィールコミックス
「サプリ」の最後には、女性たちはみんな幸せになれたのでしょうか (C)おかざき真里/祥伝社フィールコミックス

――過酷な現場にいると、自己肯定感を失ってしまいがちかと思います。原因と対策って、何かありますか?

中川淳一郎さん(以下、中川):不感症の連鎖をやめなきゃいけない。おじさんに心ない言葉を掛けられた若手が5年後に同じようになっちゃう、なんてのが広告業界にはあると思うんですよ。「俺はできていたのにおまえはできないのか」みたいな「オヤジあるある」が発生してしまう。それが逃げられなくなる理由ですよね。先輩からの不感症の連鎖を断ち切る人がいなきゃいけない。若手を罵倒したり搾取したり、そういう例をたくさん見てきました。

おかざき真里さん(以下、おかざき):怖いことですよね。風潮として、子どもの自己肯定感は親次第ともいわれますね。自分が親から受けた小言を子どもに言ってしまって、子どもの自己肯定感をそいでしまう、とか。私はいま小学生から中学生まで3人の子どもがいますが、負の連鎖は怖いです。

中川:結局、「サプリ」では女性の主な登場人物は全員働きながら幸せになれたんでしょうか?

おかざき:本当はここからなんでしょうけれど。とりあえずのエンドとしてはああいう形ですね。

――「サプリ」の最後で、主人公・藤井ミナミが取った選択について、おかざき先生が後に「自立していればこういう選択肢もあると提示したかった」とおっしゃっていたのが心に残りました。女性にとって自立というのは、自己肯定感や承認とも密接につながっているものかと思うのですが、社会で理不尽な目に遭ったときに自立しているためには、何を心掛ければいいのでしょうか?