6月15日に発売されたエッセイ「自分を好きになろう うつな私をごきげんに変えた7つのスイッチ」の著者・岡映里さんと、漫画パートを担当された漫画家・瀧波ユカリさんに、心を健やかに保つコツを伺いました。もともと編集者・記者だった岡さんが、心をラクにするためにやめた習慣とは?

岡 映里(おか・えり)

作家。1977年生まれ。慶應義塾大学文学部フランス文学科卒。2013年、双極性障害と診断される。仕事を辞め、離婚などの経験を経て、およそ2年間の治療で2015年に症状が落ち着く。以後も続いたうつ状態を、行動療法、認知療法的な視点から改善。現在は、認知療法や精神障害者の福祉政策を学びながら作家活動を行っている。ブログ「自分の地図をつくろう
瀧波ユカリ(たきなみ・ゆかり)

漫画家。1980年札幌市生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒業。2004年「臨死!! 江古田ちゃん」でアフタヌーン四季賞大賞を受賞しデビュー。エッセイ「はるまき日記」(文春文庫)、「女もたけなわ」(幻冬舎文庫)など著書多数

寝起きが悪いのは自己嫌悪のせいだった

岡さん(以下、岡):初めて瀧波さんと知り合ったのは、2011年の夏くらいでしたよね。双極性障害(精神疾患の一つ。「うつ」状態と、その対極の「躁(そう)」状態を繰り返す)になる直前の、精神状態が揺れている時期に書いたエッセイや、ウェブマガジンで連載していた料理レシピに関心を持ってくださり、ツイッターでフォローしていただいたのが最初のきっかけ。そこから顔見知りの期間が続いて、昨年末、初めて私から連絡して直接交流するようになりました。

 今回、この本を書くにあたって漫画を入れることになり、「ぜひお願いできますか?」と伝えたら快諾してくださり、うれしかったです。

瀧波さん(以下、瀧波):いえいえ。ちょうど依頼を受けた時期は、母親の闘病などもあり、気持ちが沈みがちだったんですね。「このままじゃダメだ、生活を立て直そう」と思って、笑顔で周りに接するなど、いろんなことをやってみていたので、本の内容に共感する部分が多かったんです。そのせいか、漫画を描く作業も非常にスムーズだったので、「この本の漫画は私にしか描けない!」と思いましたね(笑)。

漫画家・瀧波ユカリさん(写真左)と、作家・岡映里さん(右)
漫画家・瀧波ユカリさん(写真左)と、作家・岡映里さん(右)

岡:自分を変えたいと思っていた時期だった?

瀧波:そもそも、昔から落ち込みやすい癖があったんですよ。お風呂で髪を洗ってるときに、ふと老後が心配になったり、昔の嫌なことを一つずつ思い出してつらくなったり。2年前くらいにそういう自分に気付いて「この癖、絶対よくないよな」って。

岡:私は、朝起きた瞬間がまさにそれ。早起きできないと「こんな自分はダメな人間」と落ち込んで、なかなか起き上がれない。ずっと「寝起きが悪いのは体質のせい」と思ってきたけれど、実は起きた瞬間に自己嫌悪しているせいだと最近気付いたんです。

 癖だからすぐに変えるのは難しいけれど、「自己嫌悪しているのはなぜだろう」と自分の思考のパターンを突き止めて、それを打ち消すように意識していたら、だんだん早起きできるようになってきましたね。以前は11時ごろまで起きられなかったのですが、今は朝7時には起きて掃除とかしてますね。

瀧波:私は、昨年の11月から「ネガティブ思考をやめよう」と決めたんです。そのために、「今、自分が考えるべき問題」以外からは距離を置くようにしました。

岡:と、いうと……?