30代の未婚女性を“負け犬”と定義づけ、社会現象にもなった『負け犬の遠吠え』から12年。酒井順子さんは近著『子の無い人生』で、現代の日本で子どもを持たないということの意味をさまざまな視点から語っている。子どものいない人生をいかに生き、備えていくのかを聞いた。(前回は「子どもを持たない人生という選択」

――子育てしながら働くワーママが増えるなか、仕事の場では、子どもの急な病気などで休む人のフォローや残業など、子どもがいない女性にどうしてもしわ寄せがいきがちです。特に40代の女性にとっては、「お互いさま」とも素直に思えず、損な役回りに不公平感が募るという声も聞きます。

酒井 短期的に見るとそう感じてしまうかもしれません。ただ、子どもを持つ立場での「お互いさま」はないかもしれないけれど、今後、自分が病気をしたり、親の介護などの際にサポートしてもらう場面はあるかもしれない。長いスパンでギブ・アンド・テークを考えていけば、「私ばっかり」という不満も出づらいのでは。互いがそれぞれの背景に思いをはせつつ、助け合えればいいですよね。

――上司の采配も問われますね。管理する側はどんなことを心がけておくべきでしょうか。

酒井 子どものいない女性にもそれぞれの事情や生活があるのだから、都合のいい対象として仕事を押し付けないように気を配ることでしょうね。子持ちと子ナシは互いに気を使いながら共存しているので、そこにうかつな発言をして亀裂を生んだりしないように心がけてもらえれば。