これからは、いや応なしに働くことを求められる

高山:男性よりも多く収入を得てはいけない、家事や育児をちゃんとやらなくてはいけないなど、マネーカウンセリングをしていると固定観念に縛られている人は多い気がします。また総務省調査によると、6歳未満の子どもを持つ夫が家事関連に費やす時間は1日当たり83分、対する妻は454分…。女性が結婚、育児といったライフイベントを乗り越えながら働き続けるためには、こういった壁の高さも考える必要がありますよね。

中野:そうですね。でも、これからの時代は、人口減少、少子高齢化の流れが加速します。2025年には、国民の3人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になるというかつて経験したことがない超高齢化社会を迎えます。つまり、女性の労働力が今まで以上に必要とされる時代が来るのです。

高山:社会構造が変化している中ではいやが応なしに、女性も長く働き続けなくてはならないということですね。政府が旗を振る働き方改革が前進し、長時間労働の解消や非正規と正社員の格差の是正、フレキシブルな働き方などが確立されれば、女性も長く働き続けやすくなるのではないでしょうか。

中野:そうですね。特に女性は男性よりも長生きですから、より長く働き続けることが求められると思います。どのくらい長生きする可能性があるかと言いますと、日本人の平均寿命は2016年には男性が80.98歳、女性が87.14歳になっています。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、2065年には男性が84.95歳、女性が91.35歳にもなる可能性があるのだそう。2017年には100歳以上が全国で6万7000人を超え、その約9割がなんと女性だそうですよ。

長く働くコツは「仕事観」の確立にあり!

高山:とはいえ、先ほどの話ではないですが、頭では分かっていても女性の中には長く働き続けることに具体的なイメージが湧かない人も少なくないと思いますが、どうしたらいいのでしょうか?

中野:「何のために仕事をするのか」「なぜ、その仕事をするのか」、自分なりの「仕事観」を確立させることが大切だと思います。生活のために仕方なく働いているという意識だと仕事はつまらないものになりますが、「自分がやっている仕事は世の中の役に立つ」、「この仕事で多くの人を救える」など、社会的な使命感を持つことで、仕事にやりがいがでて、仕事をする意味も明確になるのです。

高山:なるほど。自分なりの社会的使命感があれば、一生かけてそれを成し遂げようと思いますよね。

中野:ぜひ、アラサー女子の皆さんにも自分なりの「仕事観」を確立させてほしいですね。そして、「定年」という今までの常識を捨て、生涯をかけて仕事をするという意識を持ってほしいですね。

聞き手・文/高山一恵 写真/PIXTA

プロフィール
中野 晴啓
セゾン投信社長
中野晴啓(なかの・はるひろ)さん
1987年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ運用責任者として資金運用等を手がける。2006年セゾン投信を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事、一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを開催。著書に「個人型確定拠出年金iDeCoで選ぶべきこの7本!」(ビジネス社)、「お金のウソ」(ダイヤモンド社)など多数

高山 一恵
Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー
高山一恵(たかやま・かずえ)さん
2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性と女性FPのマッチングメディア「FP Cafe」を運営。全国での講演活動、執筆・相談業務を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書に「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「1000円から増やす積み立て投資術」 (スタンダーズ)」など多数