誰しも一度は「今日は働きたくない」「好きなことだけして暮らしたい」「飽きるまで寝ていたい」なんて思ったことがあるはず。そんな夢のような生活を実現し「人はすべきことに縛られ過ぎるから、疲れてしまう」と言うphaさんに「しないことリストのすすめ」を伺いました。

「○○すべき」に疲れていませんか

 2018年が明け、早くも2週間がたちました。慌ただしいスタートに、そろそろ息切れ……という人も多いのではないでしょうか。

 毎年新しい年を迎えるたびに、「今年こそ○○しなければ」「目標に近づかなければ」と焦ってしまうかもしれませんが、その「TO DO リスト」は本当に必要でしょうか。

 「人はすべきことに縛られ過ぎるから、疲れてしまう」という京大卒の元ニート・phaさん。京都大学という超難関校を卒業しながら、28歳で会社を辞め、以降はご本人の言葉を借りるなら「毎日ふらふらして」暮らしている。そんなphaさんが暮らすシェアハウスで、こたつに入りながら「しないことリストのすすめ」を伺います。

pha(ファ)さん

1978年生まれ。大阪府出身、現在は東京都在住。京都大学総合人間学部を24歳で卒業し、25歳で就職。会社になじめず社内ニートとして過ごすものの、28歳のときにインターネットに出合った衝撃で会社を辞め、本物のニートに。現在はシェアハウス「ギークハウスプロジェクト」発起人を務めるほか、著書に「しないことリスト」(大和書房)、「人生にゆとりを生み出す 知の整理術」(大和書房)、「持たない幸福論─働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない」(幻冬舎)などがある。

生きやすさのためには世間体よりも「自分基準」

 女性は「○歳までに結婚すべき」「妊娠・出産のタイミング」「一人で生きていくなら老後の資金をためなきゃ」と、普通であることに縛られがちです。

 もしかしたら、私たちはそのプレッシャーのあまり、「本当はしなくてもいいこと」「自分が望んでもいないこと」に振り回され、生きづらくなっているのかもしれません。

 「世間一般の『普通』に合わせようと頑張り過ぎると疲れてしまいます。それよりも他人の目を気にせず、『自分基準』で生きると楽になりますよ」(phaさん)

みんなが集まるリビングにあった本棚。さまざまなジャンルの本が揃うのも、シェアハウスの良いところ
みんなが集まるリビングにあった本棚。さまざまなジャンルの本が揃うのも、シェアハウスの良いところ

 現在phaさんはブログや本の執筆、パソコンやプログラミングに詳しい仲間を集めたシェアハウス「ギークハウス」の発起人も務めていますが、今も「好きな読書をして、ゆっくり寝る」生活だといいます。

 「僕は会社では気の合う友人もできず、毎日いやいや出勤していました。でもインターネットだと、1万人に1人しか知らないような音楽について語れる人が、いくらでも見つかる。『ネットさえあれば生きていける』と衝撃を受け、退社しました。それほどお金も必要ないし、今は十分に暮らせています。もし生活が苦しくなったら、地方に移住してもいいですしね」(phaさん)

勇気をくれたのは仲間の存在

 phaさんがいわゆる世間体を気にせず、思い切った行動に出られたのは、「仲間の存在が大きかった」といいます。

「会社を辞める時は不安でしたが、辞めてみたら不安がなくなりました。ネットで知り合った仲間が僕のような生き方を認めてくれたからです。何も現実の友達だけではなく、ネット上でも心から分かり合える仲間がいれば、孤独を感じずに済みますよ」(phaさん)

 著書「しないことリスト」を執筆したきっかけも、一人で生きづらさを抱えている人たちに向けたメッセージだったそう。

 「書店には『○○すべき』といった内容の本があふれていますが、強迫観念に駆られると疲れてしまう。むしろ『しないこと』のほうが大事だと言いたかったんです」(phaさん)