不倫には誰が怒るべきなのか

――芸能ニュースでは、8月に報じられた斉藤由貴さんの不倫報道も話題になりました。

鹿島 今年もいろいろな不倫報道がありましたが、斉藤由貴さんの不倫報道で潮目が変わったと思います。

 不倫報道って「不倫は誰が怒るべきか」という話になるのですが、僕はやっぱり当事者だと思うんですよ。斉藤由貴さんの家族やスポンサー契約を結んでいる人が怒るのは分かる。だけど、関係のない視聴者が「不倫けしからん」と言うのは、そろそろおかしくないかと痛切に感じました。

 最終的には、斎藤さん側から申し出て大河ドラマを降板しましたよね。そこで誰が損するかというと、視聴者である僕らなんですよ。9月に公開された「三度目の殺人」を見たら、斉藤由貴さんが斉藤由貴さんにしかできない役を演じていました。被害者の社長夫人ですが、裏があるのではないかと思わせる役です。

 その斉藤由貴という人物をつくっているのは何かと言えば、プライベートな人生です。一般人とはかけ離れたプライベートを送っているからこそ、醸し出せる妖しさがある。倫理に反しているのであれば、役で返してくださいということですし、十分役で返しています。もし、こういう役ができなくなったら、大損害を受けるのは僕ら観客であり視聴者なんですよね。

「斉藤由貴という人物をつくっているのは、プライベートな人生です」(プチ鹿島さん)
「斉藤由貴という人物をつくっているのは、プライベートな人生です」(プチ鹿島さん)

――不倫報道については、どういうスタンスで見ればよいのでしょうか。

 僕はゴシップ誌が好きだから、「ゴシップなくなれ」とは一切思いません。「不倫はOK」という意味ではないですよ。最終的には受け手の問題で、「この人、相変わらずやってるな」とニヤニヤしながら見るくらいの立ち位置でいいと思うんです。

 追い詰めすぎると、まるでおもちゃを壊すかのように役を取り下げたり、作品などに出る機会を失ってしまう。せっかくのハマリ役でも、私たちはそれを見られなくなってしまいます。それでもいいという人は、その人の作品を見ていない人だと僕は思っています。