なぜセーラームーンが使われたのか?

お話を伺った、結核感染症課長の浅沼一成氏
お話を伺った、結核感染症課長の浅沼一成氏

 性感染症は男女ともに啓発すべきものではあり、結核感染症課はかねてから男性向けや全体向けの啓発を実施してきました。「最終的には自分の健康の事なので、自分のことは自分で調べる意識を持ってもらわなければいけない状況になっている」と考えた浅沼氏らは、昨年度、女性向けの予防啓発も行っています。しかし、それでも止まらない性感染症の増加に、浅沼氏は「どうしたものかと頭を悩ませていた」と言います。

 そこで今回のコラボ啓発が企画されました。ちなみにこの企画、特に女性向けというわけではないそうです。セーラームーンを起用した理由の1つは、女性の梅毒感染報告数が多い年代層である20歳代、30歳代が子どもだった頃に流行っていたキャラクターで、親和性が高いこと。この理由だけが一人歩きし、インターネット上で「男性が感染源になっている可能性もあるのだから、女性だけでなく男性にも啓発を行うべきだ」といった批判が散見されました。

昨年度の女性向け梅毒啓発ポスター。目にしたことはあるけれど、話題になった記憶はないような…
昨年度の女性向け梅毒啓発ポスター。目にしたことはあるけれど、話題になった記憶はないような…

 一方で、セーラームーン起用の背景には、女性ばかりではなく、男性やLGBTなど多様な層に人気のあるキャラクターであるということもありました。「漫画好きな方は別でしょうが、様々な方にまんべんなく支持されているキャラクターは珍しい」と言う浅沼氏。多くの人の目を引き、性感染症について考えるきっかけになれば…という意図があったと説明します。