元SMAP3人の「AbemaTV」への生出演や、引退を発表した安室奈美恵さんがHuluでドキュメンタリーを配信するなど、インターネットテレビや動画配信サービスが盛り上がっています。動画配信サービスの現状とこれからについて、芸能やドラマに詳しいコラムニストであり、日経ウーマンオンラインの連載「人気研究所」の執筆者でもある西森路代さんに解説してもらいました。

動画配信サービス、どれを見ていますか? (C) PIXTA
動画配信サービス、どれを見ていますか? (C) PIXTA

 9月24日、稲垣さん、草なぎさん(※)、香取さんの3人がインターネットテレビ「Abema(アベマ)TV」で「稲垣・草なぎ・香取3人でインターネットはじめます『72時間ホンネテレビ』」という3日間ぶっ通しの番組に生出演することが報じられました。
※草なぎさんの「なぎ」は、弓へんに前の旧字の下に刀

 その後の9月29日には、2018年9月で引退することを発表した安室奈美恵さんが、オンライン動画配信サービス・HuluのCMに出演する他、10月1日には、デビュー25周年とアーティスト人生最後の1年となった安室さんの真実に迫るオリジナルドキュメンタリー「Documentary of Namie Amuro “Finally”」を、Huluが独占配信をすることも報じられました。

 また、世界最大級のオンラインストリーミングサービスNetflixでは、あのジャニーズ事務所所属のジャニーズWESTが主演の学園ファンタジードラマ「炎の転校生 REBORN」を、11月10日からスタートさせることも明らかになりました。

 いずれも、これまで多くの芸能人にとって主戦場であった地上波テレビとは違うメディアに、誰もが知る人たちが続々と進出しています。こうしたメディアに興味のなかった人にまで、これらのニュースは新鮮に響いたのではないでしょうか。

 こうした動きと前後するように、明石家さんまさんが前出のNetflixのTVCMに出演。その中で語られた本音が、話題となりました。

 このCMは、実際にさんまさんにインタビューをして、その中の率直な発言をCMに使ったもの。インタビューをしているふうの映像で、思いを語っているようなCMは今までにもありましたが、なんとなくたたき台があって、それに沿った発言を引き出しているものが多かったのではないかと思います。

 ところが、今回のCMからはそういう作られた要素は感じられません。テーマに沿ってインタビューをしているのは見てとれますが、CMに使われているものは、その場で出てきた本音ではないかと思われます。

 なぜなら、「NetflixのCMしてるのも微妙。気持ち的には整理がついとらんかも」というさんまさんのネガティブな発言も、そのまま使われているからです。

 このようにさんまさんが揺れ動くのは、さんまさんが企画・プロデュースを担当しているNetflix制作のドラマ「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」が理由でしょう。このドラマは、実は出演者の事情で再撮影が必要になり、配信延期にもなっているのです。そんなトラブルがあるにもかかわらず、「ものすごく製作費もよく出していただいて」いるとか、「自由にできてるし」などという事情がさんまさんの発言に表れていると思います。

 そして、これまでさんまさんが主戦場としてきたテレビと、これから参入しようというNetflixのような動画配信サービスは並立するものではなく、ライバル的なメディアと考えていたからこその発言だと思います。

 Netflixといえば、去年はさんまさんと同じく吉本興業に所属の又吉直樹さんの小説「火花」をドラマ化しています。海外でも放送された他、その後、NHKの地上波でも放送されました。

 この作品ができたことで、Netflixや動画配信のオリジナルドラマのクオリティーが信頼に足るものだということが周知されたと思います。