25年に一度、灰の中から甦る球団・広島
「カープ女子」などの現象が採り上げられるようになったのも、新球場が生まれてからのこと。
ほかの球団にも女性ファンはいるのに、何故かカープだけがことさら採り上げられたのは、新球場が牽引する「新しさ」というイメージが寄与しているのではないでしょうか。
新しくてキレイな場所にカワイイ女子がいたら、オシャレじゃないですか。同じ人でも廃墟みたいな球場にいたら、そんなにオシャレじゃないじゃないですか。「ヤクルト女子」って言われたら、ヤクルト販売員のオバちゃんのほうが先に思い浮かぶじゃないですか。新球場に集った女子のオシャレさが、女子たちの共感を呼び、ライフスタイルとして広まっていった。それがカープ女子現象であろうと思います。
ファッションでもそうですが、何事にも流行というものがあります。最先端のものがずっと最先端であるワケではなく、時代遅れのものがずっと時代遅れなワケではない。
そのめぐりめぐるタイミングが、今は広島カープに寄り添っています。
それは意図したというよりも偶発的なものでしょう。ほかの球団と同じタイミングで最先端へと乗り換える余力がなかったことで、タイミングがずれてしまい、結果的に先頭に躍り出た。周回遅れで先頭に立つことになった。
それは、まさしくガマンの勝利。
また時代はめぐり、暗黒時代もくるかもしれませんが、広島ならば次なる暗黒時代も耐えられるでしょう。周回遅れの時間をじっと耐え、ヤケにならず、生き抜いたことが、今の広島の栄光を生んでいます。
広島は何度でも甦る。球団創設時の理念が、まさに「復興」だったように。
25年に一度、灰の中から甦る球団。それが広島東洋カープなのです。
文/フモフモ編集長 写真/PIXTA
サッカー、野球、大相撲、バレーボールや格闘技・モータースポーツに至るまで、日本のスポーツ界を広く浅く生温かく見守るぬいぐるみ。2005年3月にライブドアブログにて「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」を開設し、世間をアッと言わせるコラムを書き続けている。