2017年上半期、さまざまなニュースが話題になりました。「芸人式新聞の読み方」の著者であり、時事芸人として朝刊紙からスポーツ紙、夕刊紙、タブロイド紙まで読み込んでいるプチ鹿島さんに直撃、この半年間で気になったニュースを解説していただきました。今回お届けする後編では、働き方改革への取り組みから、宅配業者のサービス見直し問題、そしてインスタグラムなどにおけるSNS疲れまで、幅広くお話しいただきました。

前編・ 私たちに必要な「ニュースの読み方」って? プチ鹿島

プチ鹿島(ぷち・かしま)
1970年長野県生まれ。スポーツからカルチャー、政治まで幅広いジャンルをウオッチする「時事芸人」として、テレビ、ラジオ、雑誌などでレギュラー多数。手にしているのは著書の「芸人式新聞の読み方」(幻冬舎)

賛否が分かれた「おとう飯」キャンペーン

――この上半期は政府による働き方改革への取り組みが目立ちましたが、どういった視点をお持ちですか?

プチ鹿島(以下、鹿島) 6月12日に内閣府が「おとう飯」キャンペーンを発表しましたよね。6歳未満の子を持つ夫の家事や育児に充てる時間は、日本は週平均で1日当たり67分と、スウェーデンなどに比べると3分の1くらいであると。それを踏まえて、家事や育児を気軽にできるようにと行われたキャンペーンですが、ネットを中心に賛否が分かれたのが面白いところでした。

 「ごはんを作るハードルが高いから男性が料理をしないのか?」とか、「おとう飯を進めるなら、残業をなくしてくれ」「女性が作る料理は見た目が良くなければいけないのか」といったツッコミが入ったのです。

 そこで、私のラジオ番組で内閣府に電話をしてみたところ、賛否両方の意見を紹介してくれたのですが、最終的には労働時間の話になりました。国の政策としては、6歳未満の子どもを持つ夫の育児・家事関連時間を、2020年までに1日当たり2時間30分にしようという成果目標がありますが、2時間30分という時間は、「おとう飯」どころでは実現できません。結局は、労働時間の短縮や、有給休暇の取り方といった働き方改革の話になることが改めて分かりました。

――「働き方改革」に関しては、さまざまな施策がバラバラと行われている印象があります。

鹿島 経済産業省の「プレミアムフライデー」もありますよね。この間も読売新聞に「プレミアムフライデー定着の兆し」という全面広告が出ていました。一生懸命やろうとしている人たちはいるのでしょうが、定着していないと思います。上からのキャンペーンは庶民的な目線になっていないものが多いので、現状との温度差を感じてしまうということですよね。