宅配業者のサービス見直しは「節電」に通じる

――働き方改革にも関連する問題として、宅配業者のサービス見直しも話題になっています。

鹿島 大前提として、宅配便やコンビニってめちゃくちゃ便利ですよね。再配達は時間指定通りに届けてくれるし、万が一逃しても、電話をすればすぐに来てくれる。こんなに便利でいいのだろうかと思っていたら、やっぱり便利さの裏側には大変な労働を頑張っている人たちがいたんだなと思いました。

「便利さの裏側には大変な労働があった」と鹿島さん
「便利さの裏側には大変な労働があった」と鹿島さん

 「今まであまりにもサービス過多だったから、受け手の我々が考え直しませんか」という点では、3.11のときの節電意識に通じる問題だと思っています。当時、コンビニなどが明かりを暗くしていましたが、最初は違和感があっても慣れたじゃないですか。今回も、宅配業者の労働形態を知ってしまったわけですから、消費者が「そこまでやらなくていいですよ」という声を上げるべきだと思うのです。

 この話題で面白かったのは、5月に日本経済新聞で読んだ記事です。物流の人手不足を受けて、送り手側・受け手側の改革について報じられていました。

 具体的には、通販生活が昼の配送を中止するとか、ファンケルが不在時の荷物置き場の指定サービスを強化するといった内容でした。ファンケルは、これまでも実践していたそうですが、不在時には、自転車のカゴやガスメーターの上などあらかじめ選んだ場所に商品を置くシステムを強化するのだそうです。一方では、宅配業者の人が来たら外出先からスマホを使ってドアロックを解除するサービスの研究が始まっているという報道もありました。

 送り手と受け手がどんな「とんち」を効かせて、配達する人の苦労や負担を減らすのかというのは、これから見ものになるのではないでしょうか。