「野次馬精神」で情報を確かめる

――加計学園問題についてはいかがですか?

鹿島 朝日新聞が5月17日に、いわゆる「総理のご意向メモ」(※編集部注 獣医学部新設の計画を進めるための規制改革が総理のご意向であるという内閣府の回答を記した文書)が存在していたことを記事にしたことで、一気に燃え上がりましたよね。その翌週、5月22日の読売新聞に出たのが、文部科学省前次官の「出会い系バー通い」を暴露した記事です(※編集部注 前川喜平・前文部科学事務次官が在任中に出会い系バーに出入りしていたことを報道)。

 この「出会い系バー通い」記事は、一紙だけを読んでいると意味が分かりません。しかし、先ほどの一塁側と三塁側の理論を頭に入れておくと、「総理のご意向メモ」記事への報復なのだろうと、つながると思います。

 どうやら僕の見立てが正しく、その3日後に前川さんが「内部文書は存在します」という証言をしたため、それを受けて、今度は「出会い系バー」記事が何だったのか、なぜ報じられたのかが話題になりました。

 新聞は情報戦であるということの証明ができたのが、一連の出会い系バー記事でした。そういう意識で見ていくと、普通に流れている記事にも意味が見えてくるのです。

 マスコミの中でも言っていることや主張は違い、同じ風景でも見えているものは違います。僕は意見の相違があるのはいいことだと思っているからこそ、それを比べて見ています。

 人の噂でもそうですよね。「クラスで誰と誰が付き合っている」という噂を一人だけに確認するよりは、いろいろな人に確認して裏を取ったほうがいいのと同じで、これは「野次馬精神」なのだと思っています。いろいろな媒体を読んで確認すればいいということです。

聞き手・文/飯田樹 写真/小野さやか

 プチ鹿島さんによる「ニュースの読み方」談義、後編は7月18日に公開予定です。どうぞお楽しみに!