大臣、「女性の活躍」って何ですか?

 続いて、そもそも「女性の活躍」とは何なのか、という質問が加藤勝信・1億総活躍担当大臣に投げかけられました。また、会社に属さない、という新しい働き方を模索する女性が増える一方、自分のやりたいことを実現できるのはまだ少数派であるのが日本の現状です。男性中心の日本の社会はいかに変わるべきなのか、という議論も交わされました。

小島慶子さん(以下、小島) 私が就職した頃は、働き続ける人になるかならないかを選べる時代でしたが、今は共働きでないと子供を大学まで行かせることも難しくなっていて、女性が働き続けるのは当たり前になっている。そして、それは女性の問題であると同時にそれは男性への問いでもある。政府は「活躍する女性像」と言いますが、その定義は一体何なのでしょうか?

加藤勝信・1億総活躍担当大臣
加藤勝信・1億総活躍担当大臣

加藤勝信・1億総活躍担当大臣(以下、大臣) 政策の意図は女性に活躍してもらう、とか活躍させるということではなくて、どうしたら活躍できる環境を作っていくか、ということがテーマです。活躍にも様々な形があって、会社で働くでもいいし、起業するでもいいし、ビジネス以外の形での活躍でもいい。多様性のある社会が経済の成長に繋がっていくと考え、そこをいかに実現していくかがポイントです。

ショーン 国がここまで定めないと女性活躍は進まないのか。

飯田展久(以下、飯田) 国がやることではないし、トップの意識改革が全てではないだろうか。

大臣 女性活躍推進法は、現政権になってから推進してきたことを加速するために通った法案で、「やりましょう」という合意化がなされていることに注目してほしい。女性管理職の比率を30%にするというのは厳しい目標ではありますが、一つひとつ計画的に進めていくことを大事にしています。

女性管理職の割合が30%を超える国がアジアや欧米で多くある中、日本は現在11.3%という非常に低い数字。
女性管理職の割合が30%を超える国がアジアや欧米で多くある中、日本は現在11.3%という非常に低い数字。

吉田 イギリスではこの40年あまりでダイバーシティ(多様性)というものが浸透していて、今や誰もそれを熱く語ったりはしません。日本がこれから同じように40年かける必要はなく、海外の良い事例にどんどん倣っていけばよいのではないでしょうか。この半世紀でテクノロジーが進化したのだから、テレカンや在宅勤務などをとり入れた働き方や、家電を活用した家事など、技術で改善できることはたくさんあるはずです。

飯田 「実力社会」であることが大事。「女性を管理職に」と強調すると、ひずみが起きてしまうので、男女問わず、管理職に引き上げるべき人を引き上げればよいのではないか。管理職になるべき女性の数が少ないという課題があるまま「女性管理職を増やす」というと、無駄に肩書きを増やすという手段に出る会社が出てくる可能性はとても高いです。

活躍したいのに、バックオフィスに追いやられ

 再び、会場の女性が、現状を激白。妊娠・出産を経て、職場復帰をした女性は数多くいるものの、「活躍している」とは言い切れない実情があります。時短勤務で復帰した後は、コンサルティングの最前線の現場からバックオフィスに配属を変えられ、やりがいを失って鬱になってしまった女性が経験を語りました。また、子供ができたらキャリアを諦めなければならないのかと不安を抱えている女性もいました。

タレント・エッセイストの小島慶子さん
タレント・エッセイストの小島慶子さん

小島 女性は妊娠出産に際しては、どうしても一度職場を離れなくてはいけません。そのときに、男性側から「自分には関係ない」という無理解な態度に悩んだり、同じ女性同士でも分断が生じ、孤独な想いをさせられたりしていました。どの女性の働き方・生き方が正しいかではなくて、「働かなくては生きていけない」と発想を切り替えないとスタートしません。女性が復帰する際にサポートする、企業側のアクションも必要です。

飯田 管理職に就くことよりも、女性がやりたい仕事・部門にいるかということを見るべきでしょう。たとえば営業職だった女性を間接部門に追いやってないでしょうか。さらに、定時で帰っても評価する会社の仕組みを作らなければなりません。

ショーン 早く帰ると周りから反感を買うという風土も関係あるのではないでしょうか。

大臣 昔は結婚・出産退職する女性が6割いました。就職を継続していかなくてはいけない国家公務員だって現在は採用人数の3分の1を女性にしているのに、就職から5年後にそれが減っては意味がありません。キャリアをどう維持するかということに注力しているし、夫婦での働き方の幅を広げられるようなフレックスタイムの仕組みを国会で作り、国家公務員に導入しました。

――「女性活躍」で大切なのは役職を増やすことではなく、組織の雰囲気や体制を変えることであるという意見が続くなか、AKB48の中でマネジメント役に就いていたたかみなさんは、実体験を元に語ります。

現場の意見を聞いてもらえないことは多々あった、と語る高橋みなみさん。
現場の意見を聞いてもらえないことは多々あった、と語る高橋みなみさん。

たかみな AKB48でメンバーをまとめる総監督を務めていましたが、上の立場の男性に女性の意見はなかなか通らないと感じることがありました。立場が違うと意見を聞いてもらえないことは多かったように思います。それを切り開くために、現場の生の意見を伝えることに努めました。現場は違うんだということを伝えるために、密にコミュニケーションを取りました。