なぜ、被害が増えているの?

 いったいなぜこうしたトラブルが起きてしまうのか。原因は、定期購入の契約条件や返品特約(解約や返品に関する内容)が、ホームページ上で確認しづらいこと。

 「価格は目立つ場所に大きな文字で表示されているのに、契約や返品特約の内容は画面上の探しづらい場所に小さな文字で表示されていたり、ページを何度もスクロールしないと見られなかったりします。特にスマートフォンの場合、こうした情報を小さな画面ですべて読むのはなかなか難しいため、つい見落としてしまう。なかには、「今すぐ注文」という表示がやたらと強調されていたり、確認画面で1回目の金額しか表示されないケースもあったりするようです」(国民生活センター)

 こうした表示の仕方に加え、「業者と連絡が取れない」というトラブルも相次いでいる。解約しようと業者に電話をかけても通話中でつながらず、その間に指定された解約の申請期間が過ぎてしまい、新たに商品が届く。こうした相談も少なくないという。

定期購入であることが分かりづらい通販サイトの画像イメージ(出典:国民生活センター)
定期購入であることが分かりづらい通販サイトの画像イメージ(出典:国民生活センター)

消費者が見落としがちなポイント&対策は?

 “いつの間にか定期購入になっていたのだから支払う義務はない”。そう思いたい気持ちはやまやまだが、開き直って放置するのはNG。「契約自体が解消されたわけではないため、場合によっては、法律事務所から債権回収の通知がくる場合も」(国民生活センター)

 また、通信販売の場合、消費者が一定期間に無条件で契約を解除できる「クーリングオフ制度」は適用されない。そのため、一度契約をしてしまうと白紙に戻すのは難しいのが現状だ。だからこそ、未然にトラブルを防ぐことが重要になる。

 「まずは購入前に、購入に関する条件をしっかり確認すること。特に“事業者名や連絡先”“契約内容”“解約の条件”は重要です」(国民生活センター)

 また、業者に契約解除の申し出をする際に、交渉材料として手元に記録を残しておくこともポイントだ。

 「“広告の表示が分かりづらかった”ことを主張するために、注文当時のスクリーンショットを撮っておく、電話がつながらなかった場合には“いつ電話をしたか”をメモしておくことで、交渉に説得力が増すなど、役に立つ場合もあります」(国民生活センター)

 「交渉がスムーズに進まない」など不安がある場合は、最寄りの消費生活センターに相談しよう。交渉する際のアドバイスや有効な情報が得られたり、悪質な業者に対しては、間に入ってトラブル解消に努めてもらえたりするケースもある。必要な情報をしっかりキャッチし、“賢い消費者”になることが大切だ。

文/西尾英子 写真/PIXTA

相談は、「消費者ホットライン」(188・局番なし)を通じて、消費生活センターなどで受け付けています