現状に満足せず思い悩むことは悪いことじゃない

 「女の賞味期限」座談会の2回目、「仕事編」をお届けしました。いかがでしたか?

 30歳前後は、キャリア初期からキャリア中期への移行期で、「仕事アイデンティティー」を模索する時期です。仕事のステップアップを望む一方で、「自分を認めてほしい」「自分のやっている仕事をちゃんと評価してほしい」という承認欲求も高まります。

 私もそうだったなぁ、って、座談会の皆さんの話を聞きながら、30代の頃を思い出していました。

 当時の私は自分でも「どこかおかしいのではないか?」と考えるくらい、不安とも、焦りとも、表現しがたい感情に襲われることがたびたびありました。

 自分のやりたいことがだんだんと明確になっていくのに、前に進めない自分にいら立つ。夜になると涙が出る。「もっと認められたい。どうしたら評価されるんだろう」――。常にそういう感情と背中合わせでした。

 でも、自分がやるべきことをきちんとやっていれば、見てくれている人はいて。そういう人たちに、「今」も支えられている自分がいることに気付かされます。つまり、決して現状の自分に満足せず、悩み続けることが、「力」になっていくのです。

 逆説的に言うと「今、満足してます!」という人は、ちょっとだけ危機感を持ったほうがいいのかもしれませんね。

 今回、驚いたのは、「女性限定の仕事」を、彼女たちと同年代の若い男性たちが「当たり前」として受け止めていることです。人は環境で変わる生き物ですが、昭和の価値観が残っている組織にいると、平成の価値観も昭和に踏襲される。「若い男たちよ、ジジイになるなよ!」と激を飛ばしたくなりました。

 いずれにせよ、やはり若い男性たちに少々嫌われようとも、「一緒にやって」と言える勇気を女性たちにも持ってもらいたいなぁと思いました。厳しい意見かもしれませんが、それこそそんな「雑用」でストレスがたまっては元も子もない。同世代の男性たちを自分たちの応援団にすべく、行動を起こすこともときには必要なのではないでしょうか。

 最後に……。

 「自分が思っているほど評価されない」という気持ちは、40代でも、50代でも感じること。これには「平均以上効果」という心理が働いているからです。人間には「自分は平均より上」と自己評価を認知する習性があり、その自己評価と他者評価のギャップが「評価されない」という気持ちをもたらすのです。

 要するに仕事に「賞味期限」はなく、長々と悩み、あらがい、それでも腐らずに目の前の事をきちんとやることしか、自分が納得できるすべはないのかもしれません。

 来週は「女の賞味期限」の最終回。テーマは「カラダのこと、美容のこと、ココロのこと」についてです。どうぞお楽しみに。

文/河合薫 写真/竹井俊晴

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