たくさんの人が傘を差し出してくれる
カワイ (笑)年を重ねると、自分の限界が見えてくるからしんどいって、よく言いますよね?
ニケ そうですよ~。自分の実力とか能力が見えてくるから。私も、……最近、限界感じてます。薫さんは、限界感じたことないんですか~?
カワイ 鉄人じゃないんだから、感じることはありますよ。でもね、感じても「はい! 限界です!」って、線を引っぱったことは一度もありません。
私が唯一、胸を張って言えることは、たった一つ。自分に「限界を設けてない」ってことです。
だって、自由でいたいじゃない。誰に何て言われようと、世間から「もう、いいじゃん」とたしなめられようと、自由にいたいでしょ? 私はそうありたいです。
ただ、自由って、ラクすることじゃないのよ。
自由でいるためには、目の前のできることをやるしかない。ひたすら何も考えずに、「あ、まだできることがあった!」ってできること見つけて、必死にやる。
ニケ ひょっとして、穴あけ勉強法って、そういうときにやってるんですか?
カワイ 穴あけ勉強法(気象予報士・東大大学院に一発合格「必勝勉強法」とは)を使うときもあります。気になる本を買ってきたり、映画を借りまくったりして、寝る前にたった5分でいいから、穴あけ勉強したりね。でも、他のことでもいいのよ。とにかく足を止めないで動かすことが肝心なの。
するとね、限界を感じていたときには見えなかった、ほのかな“光”が見える。前に進んでいると、それまでの景色と違う景色に出会えて。よし、やってやるぞ! って、楽しくなる。
私は、その繰り返しで、今があります。というか、いまだにそれを繰り返しています。
ニケ マジすか?
カワイ つい数日前も、「ああ、私は能力が足りない」って、かなり限界を感じていました。ところがね、講演会で「いい話をありがとう! 本当にありがとう」って、70歳の社長さんが言ってくれて。なんかうれしくって。それで家に帰って、仕事のメール読んでたら、いろんな人が私の傘になってくれているんだなってことに、改めて気付かされた。
しんどくなると傘を差し出してくれている人のことが見えなくなって。自分で限界を作ってしまうのです。
ニケ え~っ、薫さんでも、「私は能力が足りない」なんて、思うことがあるんですか? ああ、私なんて限界作りまくりかも……。自由。いいなぁ。うん、いいなぁ~。
カワイ 周りの傘に気付く「心のしなやかさ」は、忘れないでほしい。そして、かっこ悪かろうとなんだろうと、無骨なまでにできることを、やってみてほしいです。
すると、今度は前向きな悩みが出てくるはずです。
「こういうことをやりたいんだけど、どうやったらいいのか?」とか、「もっと今やっておくことはないか?」とか、自分に足りないものが見えてきて、その足りないモノを増やすための傘が欲しくなってきます。そしたらまた相談してください!
ニケ めちゃくちゃかっこ悪い、ダサい、へなちょこな相談でもいいんですよね?
カワイ もちろんです!
ニケ じゃ、あとでメールします!
カワイ へ? 何ソレ? ニケさんが相談してどうするのよ~。……まっ、いっか。相談事にも限界は設けていません! 引き続きヨロシクお願いします!
文/河合薫 写真/PIXTA
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