会話と対話と議論を履き違えない

カワイ おそらく39歳営業さんは、「プライドが高い部下のトリセツ」を教えてほしいのでしょう。でも、そんなもの分かったところで意味がない。だって、問題は39歳営業さん自身にあるのだもの。

ニケ やっぱりキツい……。

カワイ だからごめんなさいって。じゃあ聞くけど、オバちゃんは相手がどんなに偉い人でも、どんなに有名な人でも、どんなに自信満々の人でも、言いたいことを言い、聞きたいことを聞きます。なぜだか分かる?

ニケ オバちゃんは、相手によく見られようとかま~ったく思っていないからです!

カワイ その通りです。女性である限りいくつになっても「オバさん」にはなりたくないし、「オバさん」と思われたくないです。特にアラフォーだと、周りに正真正銘のオバさんが増えてくるから余計にそう思います。

ニケ 大声で話したり、電車で真っ先に席取りしたり?(苦笑)

カワイ そうそう。おそらく自分と同い年くらいの女性が、そういうちょっとだけ迷惑な「オバさん」になってると「自分も気を付けよう」って思う。

 でもね、オバさんになれと私は言っていない。ここ、ポイントです。「オバちゃん」になれと言っているの。

ニケ ニケ、見えてきました! 薫さんが言う「オバちゃん」って、精神的なことですよね? つまり、えっとえっと……、男でもないし、女でもない。年上でもないし、年下でもない。若いとか若くないとかも関係ない……、えっと何て言えばいいんだろう。素っていうか、そういうすべての「属性」を取っ払って真っ裸になれって。うわ、真っ裸はマズいか……。

カワイ まずくないです。その通りです。

 真っ裸なコミュニケーションは、「対話」です。でも、39歳営業さんは「会話」をしようとしてる。会話では「多くを語らなくとも、きっと分かってくれるだろう」という前提で言葉を選んだり、相手を思いやるために真実を語らなかったりするコミュニケーションです。

ニケ ふむふむ。会話がうまくなっても、「相手を説得する」のはムリですね……。

カワイ その通りです。会話の対極にあるのが、「自分の理論を展開し、相手をねじ伏せる、あるいは納得させる」は議論です。