「相手の言葉に食いつく」+「熱意を伝える」

カワイ テレビの対談番組などでも、ゲストのコメントにやたらと「そうですね、なるほど」と相づちを打つ司会者がいるでしょ? あれも人の話を聞いていません。

ニケ え~、聞いてるから相づち打ってるんじゃないんですか?

カワイ 聞いてるフリをしてるだけです。「そうですね、なるほど」と反射的に繰り返しているだけで、「次に何を聞こうか」ってことしか考えていない。

ニケ へ~、そうなんだ! 知らなかった!

カワイ 聞いていないから突っ込みどころを逃す。せっかく面白いことをゲストが言ってるのに、あっさり聞き流すから、ちっとも面白くないの。それでいて、ゲストが既に答えてることを平気で質問するから、ゲストもイラついて、「で・す・か・ら、それは先ほどお話ししたように……」って感じで話がちっとも転がらない。

ニケ そういえば、マツコって、必ず答えてる人の言葉に食いつきますよね。

カワイ その通りです。だから、マツコ・デラックスさんのトークって面白いでしょ? 明石家さんまさんも、めちゃくちゃ「聞いて」ますよね。ゲストが発した言葉を細かく拾ってどんどん転がしていく。話が広がるから、ついゲストも本音をポロッと出しちゃう。そうやってさんまさんは、ゲストの距離感だけじゃなくて、テレビを見ている私たちとの距離感を縮めていくの。

 マツコさんやさんまさんはプロなので、あそこまでうまくやるのはムリだけど、「耳をダンボにして、相手の言葉を拾う」という作業は、コミュニケーションで一番大切なので、真似したほうがいい。

ニケ そっか。相手の言葉を拾う、ですね(メモ、メモ)。うわぁ~。なんか少しだけ気持ちが楽になった気がします。ニケ、くだらない話をおしゃべりするのは得意なんですけど、仕事の話になるとうまくしゃべれなくて。すっごい緊張しちゃってたんです。

 「失敗しないためのコミュニケーション術」みたいな本を読んで参考にしてるんですけど、そういうヤツって 「これはやっちゃダメ。このときはこういう具合に言うべし」とか書いてあるんです。それはそれでものすごく参考になるんですけど……、気を付けようとすればするほど、金縛りにあって、何も言えなくなる。でも、薫さんが教えてくれたように「とにかく聞く」ことに集中すればいいですね。

カワイ でも、「そうですね~」ってうなずくだけじゃダメよ。何でもいいから、言葉を拾って聞く。それで仕事の話を突っ込む。

ニケ 突っ込むって、な、なんですか?

カワイ 「商品に対する熱意は負けない」って32歳商社さん、言ってるでしょ。その熱意を言葉に変えるの。

ニケ 「私は死ぬほどわが社の商品を愛しています!」とか?

カワイ う~ん、それも悪くはないけど、その情報は突っ込みにならない。突っ込むには、相手の役に立ったり興味を引いたりする情報が必要です。

ニケ え~、それってメチャクチャ難しいじゃないですか。どーすればいいんですか~?