「パワハラされた」というタイミングで

ニケ バレました? そうなんです! 「アナタは女なんだから、朝20分早く来て机拭きと応接室の掃除をしなさい!」って言われちゃったんですぅ。

カワイ 上司に?

ニケ ……お局さまに。

カワイ あらら……。

ニケ 最初はムカってきたんですけど、「ま、いっか」って思ってやってたんですぅ。結構、喜ばれちゃったし、気が利くね~、なんて言われちゃったし。でも、アレもパワハラですよね!

カワイ う~ん。ニケさんがリアルタイムでそう受け止めてなかったんだから、パワハラじゃないわよ。

ニケ ガクッ。

カワイ つまりね、言われたときにどう感じたか。投げられたボールを取るときに、心がギュッと締め付けられる息苦しさがあったか。すべて受け手が決めるの。もしね、28歳研究開発さんもね、「ま、いっか」って受け流すことができるときがあったら……、「ああ、またあのバカが言ってる」って流してほしい。ときには、ちくわ耳になることも大切です。

 もちろんね、嫌なことは嫌って言っていいのよ。これはとてもデリケートな問題なのだけど……。世の中には、言っても分からない人がいます。こんなオッサンみたいに仕事している私にでさえ、いまだに「女なんだからお酌くらいしろよ」的圧力をかけてくるオジさんはいます。私はそういうのはね、もともとあまり気にしないほうなんだけど……。やっぱりムカつくことがある。そのときはね、真っ正面から受け止めると頭来るし、悔しい。でもね、ちょっと斜に構えて、「バ~カ。こんなことでしか偉ぶれないなんてサイテー!」って受け流して、「はいはい、そんなにやってほしいんならやってやるよ」って気持ちでやることがあります。ああ、この人は私にしか偉ぶることができないかわいそうな人なんだって。そうやって受け流す術も、もし、本当にできたらでいいから身に付けるのも一つの手だと思いますよ。

ニケ そっか~、薫さん偉い~。

カワイ 偉くないですよ。だってさ。そんなジジイのせいで、なんで自分の好きな仕事を辞めなきゃいけないわけ? それは強いとか、弱いではない。男性が多い社会で、自分のやりたいことをやっていくには、したたかさも必要です。繰り返すけど、無理する必要はありません。あくまでも、できたら、ってことですからね。

ニケ 薫さん! 分かりました! ニケもやってみます! 28歳研究開発さん。一緒に頑張りましょう! あ、違う。頑張るんじゃなくて、テキトーに流しましょう!

カワイ 28歳研究開発さんには、ダンナさまという大応援団もいるから。無理せず、でもちょっとだけできることもやってみてください。

ニケ アイアイサー! んじゃ、また来週~!

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