老いていく親をどうすればよいか…働き続ける女性にとって、迫りくる介護問題は切実です。自分のキャリアを守りながら、親の面倒をどう見るのがよいのでしょうか。健康社会学者の河合薫さんとアラサー独身OL代表のニケさんが話し合います。

あるあるカイシャ事件簿Vol.53「母親の面倒はどこまで見るべき?」

 「老後の人生のレールを敷いてほしい」という母にどう対応すればよいか悩んでいます。
 「子どもは家を用意し、親を呼び寄せるのが当然」「仕事に没頭するのは私が死んでからにしてくれ」と言われ続け、閉口しています。
 これまで祖父母の介護や父のみとりも含めて、長年、気力・体力・費用を使ってきたので、正直、母から解放されたい自分がいます。母は健康体ですが、少しのことでもパニックになり、暴言を吐きます。近くに呼び寄せたところで、母の気質が変わるわけではなく、だからといって田舎に一人きりで置いておくのもどうかと悩んでいます。気の持ちようをご助言いただければ幸いです。
(正社員、医療福祉関連、36歳、既婚・子どもなし)

将来母も介護することになるのでしょうか (C) PIXTA
将来母も介護することになるのでしょうか (C) PIXTA

カワイ 難しい問題だわね…。

ニケ ニケの両親は「子どもの世話にならないから、大丈夫~」って言ってますけど…。

カワイ うちの両親もそうでしたよ。でも、実際はちょっとした「変化」があったとき、高齢な親だけで対処するのは厳しい。

ニケ じゃ、いずれニケにも親を介護する日が来るのか~。全く想像できないけど…。

カワイ 私だって数年前までそうでしたよ~。2年前に父に「変化」が訪れる前日まで、父は100歳まで生きるって信じていたし、父や母のことで心が埋め尽くされる日が来るなんて、これっぽっちも考えたことありませんでした。

 5年前に父がね、緊急で心臓バイパス手術をしたことがありました。ICUでチューブだらけの父を見た時に「後どれだけの時間を、父と過ごせるんだろう」と感じたことはあったの。

 でも、父が回復し何事もなかったかのように元気になったら、その思いもどこかに消えてしまって。「その日」が来るまで、リアリティーは持てない。だからこそ「その日」が来たときに、あらがい、もがき、出口のない回廊に放り込まれうろたえるの…。

ニケ 介護って終わりが見えないから、しんどいですよね。36歳医療福祉関連さんは、おじいちゃんおばあちゃんを介護したり、お父さんをみとったり…。自分の時間なんてなかったんですよね、きっと…。

カワイ 解放されたい、というか、解放させてあげたい…です。本当にご苦労さんって。アナタにおじいちゃんもおばあちゃんも、それにお父さんも、めちゃくちゃ彼女に感謝してると思いますよ。