健康社会学者の河合薫さんが、読者の皆さまから寄せられたカイシャやオシゴトにまつわる悩み事について回答する、リアル人生相談の連載。

 第2回は、総合職の女性に格下扱いをされた事務職の女性のお悩みです。

あるあるカイシャ事件簿Vol.2
「事務職だって誇りはある、負け組じゃない」

 自分の仕事に“誇り”が持てなくて、悩んでいます。
 私は事務職として働いています。責任ある仕事も任され、やりがいもあります。でも、総合職の女性から「事務職はユルくていいよね」とか「いつまでも女の子扱いでうらやましい」といつも格下扱いされて。イヤミを言われるたびに、モチベーションが下がります。
 総合職に比べたら薄給ですし、男性社員と張り合う仕事内容でもありません。そういう現実を思うと、これまたモチベーションが下がってしまって……。
 このまま働き続けたい。でも、その一方で「事務職は負け組なのかも……」と思うこともあります。
 河合さん、どうしたら事務職でも“誇り”を持って働けますか? 教えてください。
(総合商社勤務 30歳)

カワイ  誇り……ね。世の中、どれだけの人たちが、“誇り”を持って働いているのかしらね。

ニケ  う~ん、私はあんまり考えたことないので、アルようなナイような……。でも、この女性にイヤミをいう総合職の人たちは、「私、総合商社の総合職です!」って、ものすごく誇らしげに名刺とか配ってそうだし。誇りがありますよね。いかにもバリキャリ~。

カワイ  そういうのは、“偽りの誇り”。社会的に評価されている会社や世間から「すごい!」と思われている仕事に就いている人は、確かに鼻高々だったり、プライベートでも仕事の名刺を配ったりする。でもね、それは「○○商社」とか「総合職」という属性の評価を、自分の評価と勘違いしてるだけ。そんなモンは誇りでもなんでもない。ただの“勘違い”です。

ニケ  うわぁ~。今日は厳しいっすね(冷汗)。

カワイ  私が大学を出た後、国際線のスッチーになったって話は、ニケさんにしたことありますよね?

ニケ  はい! ANAですよね。当時、CA(キャビンアテンダント)ってあこがれの職業だったですよね~。

カワイ  子供がなりたい職業でも、常にベスト3に入ってました。私も大学生のときにシンガポール・エアラインに乗って、スチュワーデスさんがメチャクチャきれいで、5カ国語くらいペラペラで。それでCAにあこがれて、当時、勢いのあったANAのCAになりました。

 ところが、初フライトで「こんなはずじゃなかった」って、ものすごくガッカリして……。