ウーマンオンライン編集部がセレクトする、年末年始におすすめの本特集。2回目は、ウーマンオンラインでもおなじみ、コラムニスト・ラジオパーソナリティとして活躍中のジェーン・スーさんのエッセイ『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』を紹介します。オーガニックやヨガ、京都など、「女性なら誰もが好き」と思われがちな要素を「甲冑」に例え、「似合うか否か、必要か否かを頭で決めつける前に試してみる」というジェーン・スーさんに、コンプレックスとの向き合い方や読みどころをお聞きしました。

ジェーン・スー

コラムニスト/ラジオパーソナリティー/作詞家
音楽クリエイター集団agehaspringsでのプロデュースや作詞家としての活動に加え、自意識をこじらせた大人たちへのパンチラインが話題を呼び、2013年10月『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)を出版。2作目の『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)が第31回講談社エッセイ賞を受賞。
2016年4月よりTBSラジオ番組『ジェーン・スー 生活は踊る』(月~金11:00~13:00)でパーソナリティーも務める。

コンプレックスと苦手がセットになると……

編集部:「女の甲冑~」を拝読して、嫌いなものでも「食わず嫌い」せずに試してみよう!という姿勢に共感を覚えました。なぜ、このテーマで書いてみようと思われたんでしょうか。

ジェーン・スー(以下、スー):連載時は『今月の踏み絵』というタイトルだったんですよ。「世間一般から好まれる女性像や物事と自分自身との距離を縮めるか否か、試しに踏んでみよう」という企画だったんです。そしたら最終的に、自分のコンプレックスがあぶり出される形になりました。例えばこの本にも書いてあるヨガなんかも、食わず嫌いというか、やらないうちから苦手意識が強かったんですよね。コンプレックスと苦手がセットになって、そのまま嫌いにスライドされてしまっていたんですが、今回試してみて、「うん、、これは私向きではない」と改めて思い、コンプレックスは消えました。

編集部:試した結果、ディズニーランドも?

スー:すごく好き!とはなれないけれど、別にそれでいいかな、と。

40代のリアルな感覚に近いエッセイ

編集部:苦手だった「赤い口紅」を攻略し、興味のなかった宝塚を楽しんできたかと思えば、日曜日をダラダラ過ごすという章があったりしますよね。私はあのエッセイを読んですごくホッとしたんです。

スー:「最高の日曜日」ですね。この話にホッとしましたという反響を多くいただいて、再度私がホッとするという(笑)。「なんだ、みんなイケてない日曜日を過ごしているんじゃん」って。私も「日曜日になんかやったほうがいいかな」と思いながら、こうやってダラダラ過ごしている感じですから。

編集部:他に反響の大きかったエピソードを教えてください

スー:前髪の話(「額という名の裸体について」)とか……。モデルのHARUKOさんの章(「山田明子について」)にも反響がありましたね。私の筆圧が強かったというのもあると思いますけど(笑)。あとは華原朋美さんの章(「トップ・オブ・ザ・女子」)。自分と同世代で、今でも活躍している2人がどんな40代を過ごしていくのかと思うと、目が離せないんです。

 前作の「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」は20代から30代半ばくらいまでに感じた熱い思いをうわーっ! と書いた本なんですけど、「女の甲冑~」は40代のリアルな感覚に近いかもしれません。