イライラ全部、デトックス 「地獄のガールフレンド」

鳥飼茜「地獄のガールフレンド」(祥伝社)、全3巻
鳥飼茜「地獄のガールフレンド」(祥伝社)、全3巻

 続いて、「ダメ恋」と同じく女3人組が主人公ながら、それぞれが友達でないどころか「友達がいない女」という共通点しかない。そんな3人が偶然、一軒家で同居することになることから始まる「地獄のガールフレンド」を紹介します。

 夫と離婚したばかりのシングルマザー・加南、アパートの立ち退きで住む所がなくなったアラサーOL・悠里は、市役所で張り紙を見て女性限定のルームシェアに応募します。家主の奈央は30代後半で恋愛体質のモテモテ美人で、彼氏に振られたばかり。女同士の友情に関心がなく、程よい距離感で生活する相手が欲しいと、ルームシェア仲間を探していたのでした。

 こうして始まった3人+加南の子どもとの同居生活ですが、最初は加南も悠里もなかなか本音が言えません。離婚による苦労を全く感じず、イラストレーターという好きなことを仕事にしている加南は「自分の人生が楽しいと、人に言いづらいのはなんでだ」と考え、会社でワーママに仕事を押し付けられた悠里は「ハッキリいって、母とか嫁とかいう女達が嫌いだ。彼女らの『誰かのために生きている』という使命感が嫌いだ」と心の中で憤る。そんな2人に対して、いつも自由に生きている奈央は「(私が)モテる秘訣わかったよ。男に自分ほど関心を持たないこと。私、男より自分の方が100万倍好きだわ」と率直に打ち明けます。奈央と関わることで、加南と悠里も本音で話すこと、自分の気持ちを行動に移すことができるようになってくるのでした。

 3人の関係性が深まってくるとともに、盛り上がるのが家飲みトーク。「若い女は過大評価か過小評価のどっちかしかされない」「母になると子育て以外の趣味がなくなる?」「恋愛も人生の暇つぶしだけれど、スマホはそれに匹敵する人生最大の暇つぶしになり得るかも」という社会派なトークから、「数年ぶりに連絡してきた元カレ気持ち悪い現象」という、恋愛あるあるネタまで、3人それぞれの意見をぶつけ合いながら分析していきます。

 上司や仕事、世の中のことなどにイライラする感情が芽生えてきたら、半身浴でもしながらじっくり読んでみてはいかがでしょうか。読み終える頃には、心も体もスッキリとデトックスできていることでしょう。

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