TV番組やCMで姿を見ない日はないくらい売れっ子の俳優、松坂桃李さん。同じく人気俳優で、松坂さんの事務所の後輩である菅田将暉さん。飛ぶ鳥を落とす勢いの二人がダブル主演で、しかも兄弟役を演じる新作映画「キセキ -あの日のソビト-」が公開されます。

 本作は、素顔や本名を明かさない、メンバー全員が歯科医のボーカルグループ「GReeeeN」の大ヒットソング「キセキ」誕生にまつわる実話を基にした映画化作品です。公開を前に、GReeeeNのプロデューサー、※JIN(ジン)役を演じた松坂さんにインタビューし、姿を公表していない実在の人物の役作りなど、映画についていろいろ伺ってきました。また、松坂さんが考える“最強の女性像”についても語ってもらいました。

松坂桃李
1988年10月17日、神奈川県出身。2009年、TVドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。2013年、映画「ツナグ」「麒麟の翼~劇場版・新参者~」「今日、恋をはじめます」で第36回 日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。そのほか主な出演作に映画「僕たちは世界を変えることができない。」「王様とボク」「マエストロ!」「日本のいちばん長い日」「ピース オブ ケイク」「真田十勇士」「湯を沸かすほどの熱い愛」、TVドラマ「NHK連続テレビ小説 梅ちゃん先生」「NHK大河ドラマ 軍師官兵衛」「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」「ゆとりですがなにか」「視覚探偵 日暮旅人」などがある。

ヘアメイク:AZUMA@MONDO-artist(W)
スタイリスト:伊藤省吾(sitor)

――これまでも難しい役をたくさん演じてきたと思いますが、今回のジン役は複雑な内面描写の感情演技が難しかったのではないかと思うのですが、いかがでしたか?

 「本作に出演するにあたって、JIN(ジン)さんにお会いすることができて、彼と、菅田が演じるHIDE(ヒデ)さんと、菅田と4人で食事会をしたんですね。世に出ていない方なので、どんな方なんだろうと思っていたんですが、自然と一体化しているという言葉がピッタリの方たちでした。山・川・風など、自然がもたらすものを感じ取って曲を作る。理論的ではなく、まっすぐな音楽作りをされる方たちです。

 お話にすごく説得力があって、音楽が好きだということが伝わってきて、それが今回JINさんを演じる上で指針になるような気がしました。JINさんのそういったところを大事にしようと思いながら演じました。内面的にどれだけ彼に近づけるかという難しさはありましたね」

――劇中、ジンはミュージシャンとして挫折を感じ、弟のヒデをプロデューサーとしてサポートする側に回りますが、兄弟の葛藤などといった難しい要素もありましたよね。

 「そうですね。(ヒデが結成する)グリーンボーイズが楽しそうに歌っている姿に、なんとも言えない気持ちになったりして……。切ない気持ちもあれば、売れると信じてプロデュースしたものが観客に受け入れられたうれしさもあって。今思えば、ジン役を演じている間は終始孤独でした。

 でも、彼は諦めたとか妥協したわけではなく、音楽が好きだからこそ、自分の中のステージは違っても、折り合いをつけて、別の正解を見つけたんだなと理解できました」

生き生きと歌うグリーンボーイズ
生き生きと歌うグリーンボーイズ
新しい道を見つけていくジン
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