女性には参政権がなく、男性よりも賃金が低いのに労働時間は長い。そんな20世紀初頭の英国で「言葉より行動を」と、女性の選挙権を求める運動に従事した女性がいました。そのカリスマ的リーダー、エメリン・パンクハーストさんが率いるWSPU(女性社会政治同盟)に参加した女性たちは“サフラジェット”と呼ばれていました。

 約100年が経過し、彼女たちの活動の実話を基にした映画「未来を花束にして」が公開されます。それに伴い、エメリンさんの曾孫のヘレン・パンクハーストさんが来日。ヘレンさんご自身も女性のためのさまざまな活動を行っており、映画化にあたっては脚本の助言をしたり、娘ラウラさんと共にカメオ出演したりしたそうです。

 ヘレンさんにインタビューし、現代の各国の女性リーダーについて、さらに男女平等に関するご意見などを伺ってきました。

ヘレン・パンクハースト
1964年5月8日、エチオピア・アディスアベバ生まれ。英国のサセックス大学とエジンバラ大学出身。社会科学(経済学/人類学/社会学/政治学)の博士号を取得。国際NGO<ウォーターエイド>のエチオピア代表を3年務め、英国のNPO<ウーマンカインド・ワールドワイド(女性の権利問題に取り組むNPO法人)>の国際プログラム代表などとしても活躍。現在は<ケア・インターナショナルUK(女性や子どもの貧困解決を支援するNGO団体)>のキャンペーン・アンバサダーや、<ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)>の社会政治学の客員教授などを務めている。家庭内暴力にさらされている女性を守り援助するための「パンクハースト・センター」を設立。

――「未来を花束にして」を拝見し、自分が選挙権を持っていることの重みを改めて考え直しました。ヘレンさんはこの映画が製作されると知った時、また完成した映画を見た時、どのように思われましたか?

 「そうですね、パンクハーストという姓が有名だということは幼い頃から感じていて、名前を言うだけでサフラジェットについて聞かれることも多いんですね。その都度、サフラジェットのお話をしてきたのですが、実は孤独を感じることがありました。というのは、いくらお話をしても、参考にできる映像がなかったもので、きちんと伝えることができていないのではないかと感じていたんです。

 そんな時に映画が製作されると知って、これで視覚的に伝えることができると思いました。完成した映画は、グローバルにみなさんの心に響く、非常に力のある美しい作品に仕上がっていると思いました。おかげでサフラジェットを深く理解してもらえるようになり、見た人たちが『自分ならどうするだろう』と考えてくれるようになりました。本当に素晴らしいことだと思います」

サフラジェットたちが女性参政権運動を行う劇中のワン・シーン
サフラジェットたちが女性参政権運動を行う劇中のワン・シーン