各界で活躍している働く女性に、今の自分をつくった「10のこと」を伺い、その人物像に迫る本連載。今回は、ニューヨークを拠点に活動をする文筆家・岡田育さんにお話を聞いています。


 ニューヨークを拠点に、執筆・編集・デザインの分野でフリーランスとして活動をしている岡田さん。前編では、原点となった経験や文筆家としての活動を始めたきっかけを伺いました。6月2日に上梓した3冊目の単著「天国飯と地獄耳」(キノブックス)は、「おいしいごはんを食べながら、隣席の会話を盗み聞きする」のがコンセプト。後編では、人生の分岐点となった出来事や影響を受けた本、東京とニューヨークにおける女性たちの共通点を聞きました。

文筆家の岡田育さん
文筆家の岡田育さん

【質問6】人生の分岐点となった出来事は?

【回答】小学校から高校までの女子校生活です

 小学校入学から高校卒業までの12年間、親の選んだ女子校に通っていたことは、人格形成に多大な影響を与えていると思います。女子校って「女だらけで、女っぽい」空間ではなくて、「男女の性差を意識せずに済む」環境なんですよね。学業成績もスポーツも課外活動も、できればできるほど尊敬されるので、「頑張れば将来は何にだってなれる」と思っていました。

 男女の間に横たわる不条理な不平等に気付くタイミングが大人になってからだったのは、よかったのかもしれません。あまり早くから「私は女の子だからこう生きるしかない、女の人生なんてこんなものだ」と、自分を型にはめ込まずに済んだわけですからね。

 もう一つ、女子校の産物だなと思うのが、たまに同性から「同じ女として、あなたも分かってくれるでしょ?」と共感を求められても、「全然分からないよ! あなたはあなた、私は私でしょ!」と考えてしまうこと。男友達も、女友達も、仕事相手も、配偶者も、男だから女だからと特別意識せずにいられる人間、似た価値観の人間を選んで付き合っている気がします。