ネットの不正アクセス 対策はあるの?

 今回のようなインターネット上の不正アクセスを、どうしたら防げるのだろうか。警視庁サイバーセキュリティ対策本部対策担当係長の吉田浩子さんは「一番の対策は、IDとパスワードは絶対に使い回さないこと。IDとパスワードは、現実社会において言うと、『鍵』なんです」と話す。

 言われてみれば、私たちの身の回りには、家、自転車、スーツケースなどさまざまな鍵がある。そしてそれは、一つではなく別々なものだ。

「インターネット上のパスワードも同じです。様々なサイトを利用する際、登録するごとにパスワード(鍵)を設定しますよね。そのパスワードを使い回すということは、家や自転車などすべての場所で、一つの鍵を使っているということになるんです」と吉田さん。

 「たとえば、自転車の鍵だけ落とした場合は、自転車だけが乗れませんよね。しかしパスワードを使い回していた場合、一つ盗まれてしまうと、使い回しをしているサイトすべてにアクセスされてしまう危険性があるのです。自転車の鍵を落として、家も金庫もその鍵で開けられてしまうことと、同じなんです」(吉田さん)。

 それだけ、パスワードの使い回しは自らを危険にさらしているのと同じことなのだ。

 (C) PIXTA
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たくさんのパスワードを管理するコツ

 ただ、すべてのサイトでパスワードを変えるのは、正直面倒だ。パスワードの一部だけ変えて使い回している人もいるのではないだろうか? 「使われやすいパスワードも大変危険です。例えばPCのキーボードの左から『QWER』、『1234』などの数字、人の名前など、使われやすいパスワードのリストは世界中で共通しているので、そういったものは避け、本人しか知らないパスワードにすることが重要です」と吉田さん。

 では、ネットショッピングをするサイトだけ気を付ければよいのだろうか? 吉田さんは「ショッピングをするサイトだけでなく、IDやパスワードを登録するすべてのサイトで違ったパスワードを設定するようにしましょう」と話す。「クレジットカードなどの登録がなくても、住所や電話番号などあなたの個人情報が入っているからです」

 しかし、パスワードがいくつもあると忘れてしまう。結局思い出せず、登録し直し……なんてことにもなりかねない。「そんなときは、パスワード管理アプリを使用するのも一つの方法です。パソコンだけではなく、スマホ対応アプリもあります。ただ、ランサムウェアなどの問題もありますので、パソコン上だけでの管理はせず、それとは別に手帳などにも手書きで管理することがおすすめです」と吉田さん。

 アナログで意外に思われるかもしれないが、手帳やメモに手書きで書いておくことが有効のようなのだ。もちろん、それをきちんと管理しておくことが大前提である。では次に、「ネットショッピングでクレジットカードの不正使用被害に遭ってしまったら、どうしたらいいのか」をご紹介しよう。