AIは、幸せにはつながらない?

 10年後に、AIによって私たちの暮らしは変化するのでしょうか。

 自動車の自動運転、会社やホテルの受付にロボットが導入されるなど、ここ数年でAIに関するニュースが増えていることもあります。この調査でも、5割近くの人が生活や仕事の質は「向上する」と回答していました。

 一方で、幸福度について聞くと、「変わらない」もしくは「低下する」という回答が約8割にも上ります。生活や仕事の質と幸福度は比例しないと考える人が多いようです。

10年後、AIによって私たちの暮らしは変化する?(n=1442)
10年後、AIによって私たちの暮らしは変化する?(n=1442)
約2割の人がAIによって幸福度が「低下する」と回答 データ出典/フォーサイト

AI知識を身に付けることがキャリアアップになる

 今回意識調査を行ったフォーサイトと共同で、「AIを活用した学習指導プログラム」を開発している明治大学理工学部情報科学科の高木友博教授は、「AIは既にさまざまな形で生活に入り込んでおり、単純な知的活動は今後すべてAIに置き換わります」と語ります。AIを使いこなすことが常識になるのだそうです。職業に分けて考えると、「ビジネス系では適用するために正確に指示を出せる能力が必要、エンジニア系では、システムの提供やデータ解析の能力が必須になります」と高木教授。したがって、AIを競争力として味方につけないと、「乗り遅れた人は差をつけられることになるでしょう」と解説しています。

 「AI」という言葉だけで苦手意識を持ってしまう人は多いと思います。ですが、近い将来、英語や料理を習うように、「AI活用術」を身に付けることは社会人の常識の一つになりそうです。少しずつでも学んでいく姿勢を持てば、キャリアアップにつながり、将来の夢が広がるかもしれません。

文/広瀬敬代 写真/PIXTA