ボーダーラインは45歳?
――iDeCoを始めるのに、年齢は関係ありますか?
私は、iDeCoで重要になる年齢は「45歳」だと思っています。45歳なら、60歳まであと15年。貯蓄が少なければ、老後資金の準備を急いでしなくてはなりません。
先ほど「貯金500万円」がiDeCoを始める一つの目安だと紹介しましたが、45歳の段階で貯金が300万円未満の場合は、すぐにiDeCoを始めることをおすすめします。働き方によって掛けられる上限金額は異なりますが、できるだけ自分の上限金額で始めたいところです。
――45歳未満の場合は、どうしたらいいでしょうか。
45歳未満で、手元に500万円の貯金がなければ、いざというときのお金がまだ準備できていないということなので、老後資金のiDeCoよりも、貯蓄を優先的に進めたいですね。
「貯蓄はまだ少ないけれど投資をしてみたい」という人は、月100円から3000円程度の範囲で、NISAで始めてみてもいいと思います。貯蓄が500万円になってから、iDeCoを検討したらよいでしょう。
【まとめ1:老後資金の計算方法】
(1)勤務先の退職金と企業年金を確認しよう
(2)現在の生活費と将来必要な生活費を試算し、老後に必要な資金の総額を把握しよう
(3)(2)から(1)の金額と貯蓄額を差し引いた分が、「老後資金」としてこれから準備すべき金額になる
【まとめ2:タイプ別 iDeCoの始め方】
●45歳未満/貯蓄500万円未満なら
・iDeCoを検討する前に、家計を見直して貯蓄500万円を目指そう
・投資に慣れておきたい場合は、NISAなどを活用して少額(100円~3000円程度)で始めるのがおすすめ
●45歳未満/貯蓄500万円以上なら
・老後資金の選択肢としてiDeCoを検討してみよう
・投資経験がなく心配な場合は、NISAなどを活用して少額(100円~3000円程度)から始めるのもあり
・iDeCoを始める場合は、できるだけ自分の上限金額を掛けること
●45歳以上/貯蓄500万円未満なら
・できるだけすぐにiDeCoを始めよう
・掛け金は自分の上限金額に設定すること
・並行して家計を見直すのがおすすめ
●45歳以上/貯蓄500万円以上なら
・他に老後資金の準備をしていなければ、すぐにiDeCoを始めるのがおすすめ
・掛け金は自分の上限金額に設定すること
取材・文/西山美紀 写真/PIXTA イラスト/田中小百合