私の発信から受けたものや知ったことがあればなにかに役立ててほしいし、結果、その人の人生が豊かになることを願っています。「応援したい」という気持ちが互いに循環している状態が、ファンとアーティスト(や、タレント、俳優、作家など)との理想の関係ではないでしょうか。

 例えば、「武道館に行きたい」というアイドルがいて、そんな彼女が頑張る姿にファンは元気をもらって応援をする。そうしてファンの声をエネルギーにできたアイドルはさらに上を目指すことができる――こういった相乗効果は上下関係ではなく、互いのエネルギーが循環して初めて生まれるものだと思います。

「『いいファン』といい関係性ができると、お互いのエネルギーの好循環が生まれます」
「『いいファン』といい関係性ができると、お互いのエネルギーの好循環が生まれます」

上に行くことを応援できるのが本当のファン

 「握手できる人数は限られている。だからファンへの一番のお返しは自分が上に行って活躍している姿を見せることだ」――これはあるタレントさんがおっしゃっていた言葉ですが、自分が上にいくことを喜んでくれる人たちもまた、本当のファンだと思います。

 「有名にならなくてもいいから地元でライブをしてほしい」「私にだけ握手してほしい」「名前を覚えてほしい」といった特別待遇を望む人は、ファンというよりも自分の欲望を満たしてほしいだけ。「ファン」の肩書を名乗りながら、応援対象の相手のことは見えていないな、と思います。

 私自身、ファンの方のことは好きですが、個別に友達になりたいわけでもなく、「はあちゅう」として夢をかなえていくところを見てほしいし、それを応援してくれる人が私にとっての一番のファンだなと感じています。

 発信する場や機会が豊富になってきた今、たとえ著名な人でなくても発信することで自分にファンがつき、人生を豊かにしていける時代になると思います。そんなとき、自分自身もバランスのとれたファン意識を持って相手と接していきたいんです。

聞き手・文/小泉なつみ 写真/稲垣純也 取材日:2017年8月30日