間違いの指摘は「あんたのことが嫌い」に変換される

 「意見」を「感情」と捉えられて一番困るのが、なんといっても仕事の場です。

 怒っている・怒っていないにかかわらず、職場ではミッションが成功するように自分の意思を伝えたり、確認を取ったりすることがありますよね。でもそういった態度を「なんか怒ってます?」で返されてしまうと、本当にがっくりときます。これってもはや、仕事への真摯な姿勢に対する冒とくではないでしょうか。

 私自身、以前、女性ばかりの職場でキツいなと感じたのが、業務上の間違いを指摘すると、「(私が)相手を嫌っている」と勘違いする女性が多かったこと。

 こちらは、好き・嫌いの問題ではなく、単純に間違いを正してほしいだけなんです。それに対するケアも面倒だと感じることがありましたが、さらに困ったのが、「私がかわいいからはあちゅうさんが嫉妬していじわるしてくる」と陰で言われていたとき。「仕事を教えたいだけなのになぜこうなる……」と、頭を抱えてしまいました。

意見をシャットダウンする「ブス黙れ」

 一方で男性の反応で多いのが、意見に対して全く関係のない「ブス黙れ」という返しです。

 単なるヤジのつもりなんでしょうけど、容姿を攻撃することで意見を封じ込めようとする行為は、卑劣なものです。特にメディアに出ている女性に対して、主義主張の前に「ブス」か「美人」かでふるいにかけて攻撃する人が多い。

 そんなふうに人をバカにしてくる彼らは、医者や弁護士、大学教授といった国家資格を保有していたり、アカデミックで専門的な職業に就いていたりする女性に対しては、あんまり牙を剥かない。ずるいというか情けないというか……。自分たちのヤジが彼女たちを攻撃するには幼稚することを理解しているんでしょう。「ブス」と相手の容姿攻撃をすることも、相手を貶めることで自分を優位に、相手を下に立たせるための方法の一つですよね。そうやって、相手の上に立たないと自尊心を保てない人って意外に多い気がします。

 意見に対して的を外した返しをしてくる人って、「若い女は俺の言うことを聞いておけばいい」とか、「おまえみたいな姉ちゃんは意見を言う資格はねえ」みたいなマインドで接してくる「説教おじさん」に似ている気がします。彼らにとって若い女性というのは「意見を言う生き物」として登録されていないので、それだけで目障りなんだと思います。