創意工夫で、節約しながら栄養を満たす

 「おなかを満たせばOK」とはいかないのが、日々の食事。できることなら「どんな栄養がある?」、「体調不良を改善する食材は?」といったことにまで気を配って食事をしたいところですが、忙しい毎日の中では難しいのも事実です。

 細川さん、食費をかけず、なるべく手間もかけず、健康的な食生活を送る方法はないのでしょうか?

 「実は心強い食材が二つあるんです。それは乾物と発酵食品です!」(細川さん)

乾物と発酵食品で作ったおかずを取り入れよう (C)PIXTA
乾物と発酵食品で作ったおかずを取り入れよう (C)PIXTA

お財布にも体にも優しい「乾物」と「発酵食」

 お金をかけず、栄養を取るには「乾物と発酵食が強い味方」だと細川さんは言います。

 「食材を天日干しした乾物は、風味、うまみ、栄養価が生の状態と比べてアップしています。食べる分だけ取り出して使え、賞味期限をあまり気にせずに済むのもうれしいですね。ぜひ、切り干し大根や高野豆腐、ひじき、じゃこ、干し椎茸、桜えびなどの乾物を活用してください。ランチにお弁当を持参するとき、総菜を買うときも、これらを使っているおかずを選びましょう」(細川さん)

 そして、もう一つおすすめなのが、味噌、納豆、漬物といった発酵食。

 「例えば同じきゅうりでも、スライスしてドレッシングをかけて食べるよりも、ぬか漬けにして食べたほうがビタミン類や乳酸菌が増えて、栄養価が格段に高くなります。ぬか床を自分で作る時間がない人は、パックを開ければ食べられる納豆、キムチ、ヨーグルトといった食材を取り入れましょう」(細川さん)

 なるほど、食費を節約しつつ、手間をかけず、必要な栄養素を取る方法はあるんですね。

 「忙しくて毎日自炊するのは無理、外食に頼っている、という人も、休日ぐらいは食材を買いに出掛けてみてはいかがでしょうか。私たちの調査では、料理をする人は主観的健康度が高く、栄養状態がよく、不調が少なく、仕事に自信があることが分かっています。スーパーで旬の食材に触れ、料理を考えることは健康にはもちろん、仕事上の段取り力の向上にもつながります。週に1度は『食事作り力』を高めてくださいね」(細川さん)

 いくら食費を削って節約したとしても、健康を損ねて医療費がかかるようでは本末転倒です。やはり「健やかな食事」あってこそ「健やかな体」がつくられます。これからは「食事作り力」を意識したいものです。

文/三浦香代子 写真/PIXTA グラフデータ出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室

 今回記事中で紹介しているデータを計測した保健室のプロジェクトが京都でも展開されます。お近くにお住まいのかたはぜひ参加してみてください。

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京都保健室