骨のもろさは骨粗しょう症だけでなく、ロコモの原因にも
また、骨の強度は骨粗しょう症だけではなく、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)にも関わってきます。筋肉や骨、関節などの運動器のいずれかに障害が起こり、「立つ」「歩く」といった移動機能が低下する「ロコモ」。高齢者の悩みかと思いがちですが、「まるのうち保健室」の調査では何と20代~30代の参加者のうち3割が「ロコモ度1」か「ロコモ度2」に該当し、運動機能が低下していることが分かりました。
日々の活動量を見てみると、「低い」が59%を占め、ロコモ対策に有効な筋トレや運動習慣を持っていないことも分かりました。
「将来、運動器の問題による要介護リスクを避けるためには、骨密度を保つのはもちろん、筋力アップに取り組むことが必須です。特にデスクワークが多い女性は活動量、筋肉量が少ない傾向にあるので、20~30代のうちから筋トレに励みましょう。忙しくてジムに通えない人は、自宅で1日30回程度のスクワットをしたり、電車では座らずに立ったり、脚の筋肉を鍛えるよう意識するとよいですね。エスカレーターより階段を使うなど、活動量を高める意識を持つだけでも違ってくることも分かっています」(細川さん)
そして、もちろん食生活の改善も必要です。まるのうち保健室では、脚部の筋肉量が高い人(※1)、ロコモ度の結果が良好な人(※2)の食生活も調査。下記のような結果になりました。
※2 ロコモ度を測る「ステップ値」が1.6以上の人 ステップ値とは、2歩分の距離(cm)÷身長(cm)の値、1.3未満がロコモ度1、1.1未満はロコモ度2
脚部の筋肉量が高い人 | よく食べているもの | 脂の多い魚、緑葉野菜を中心とした野菜類、果物類、食塩、砂糖 |
あまり食べないもの | 揚げもの、うどん、酒 | |
ロコモ度の結果が良好な人 | よく食べているもの | 豆腐などの大豆製品、海藻類、緑葉野菜、果物類 |
あまり食べないもの | うどん、パン、揚げもの、洋菓子、嗜好飲料(100%ジュースを含む) |
という特徴が見てとれました。
「ロコモ度の結果が良好な人たちは、食生活のバランスがよく、筋肉の材料であるたんぱく質を摂取していました。ロコモを防ぐには、栄養と運動の両輪がうまく回ることが大切なんです」(細川さん)
忙しいと、ついおざなりにしてしまう食事や運動。でも、将来の自分のためにもいま一度、見直したいものです。
文/三浦香代子 写真/PIXTA グラフデータ出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」