24時間4畳半の部屋で実験台になってみた

2012年2月2日

食事をとるだけで消費されるエネルギー「DIT」の秘密に迫る!

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 食事をとると、体がぽかぽか温まるのを感じますよね。これは、食べ物の温かさを受け取っているだけではなく、食事をとると、消化管や肝臓の活動などにより熱が作られ、体が温まる作用があるから。これは、食事誘発性体熱産生(DIT)と呼ばれます。人の1日当たりの総エネルギー消費は、基礎代謝60%:DIT10%:身体活動30%に大別されます。10%とはいえ、食事をとるだけで消費されるエネルギー「DIT」、ダイエットの観点からは無視できないですよね。

 DITを正しく測る、その評価方法を確立するための実験を行っているのが、独立行政法人 国立栄養・健康研究所(栄養研)。1920年から日本人の栄養と食生活に関する研究を行い、厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準」の基礎データを収集している研究所です。今回、その研究所である測定実験が行われるというので、早速行ってきました。

 ある測定実験とは、エネルギー代謝プロジェクト 田中茂穂プロジェクトリーダーの研究チームが実施する精密な測定実験。ヒューマンカロリーメーター(24時間代謝測定室、メタボリックチャンバーともいう)という部屋を用いた実験です。どんな実験をするかというと、24時間、一人で気密室に閉じこもってひたすらエネルギー消費を測り続けるのです。少々、いや、かなり孤独な測定に、ライターが挑戦してきました。

 ヒューマンカロリーメーターとは、4畳半ほどの大きさの気密室を用いたエネルギー代謝測定専用の実験設備。外気を遮断した部屋の中で24時間過ごし、呼吸による酸素と二酸化炭素の交換から、1日の総エネルギー消費を測定します。人間のエネルギー代謝を最も正確に測ることができる設備ですが、国内では国立健康・栄養研究所、筑波大学、花王の3カ所にしかないといいます。今回は、測定室で24時間過ごす実験を一被験者あたり2回くりかえします。測定開始日の夕方に栄養研に入って、夜7時から翌日の夜7時まで。合計48時間をヒューマンカロリーメーターの中で、一人で過ごすのです。もう一度言いますが、かなり孤独です。

国立栄養・健康研究所内に設置された、ヒューマンカロリーメーターの入り口。気密室のため重くて分厚い扉が。2室並んで設置されている。国内ではここと他2カ所にしかない。
室内の酸素と二酸化炭素の割合、被験者に取り付けられた心拍数計などの状態を、ヒューマンカロリーメーターの外でモニター中。測定中はここでスタッフが控えている。

 測定日の夕方、栄養研に入ってまずは身体測定。身長、体重はもちろん、体脂肪率などの体組成も測ります。測定に使用したのは、市販の体重体組成計。足を体重計の銀色の電極の上に、手で引出式のグリップを握って測るタイプのもので、これは体の中にごく微弱な電気を流し、その電気抵抗で体の筋肉と脂肪の量を測定しているわけです。続いて、同メーカーの作る電気抵抗だけを測る機械も使用します。体重体組成計は、電気抵抗の値から計算式で体組成を求めているわけですが、基礎データとなる日本人の電気抵抗の測定値を集めておくことで、体重体組成計の機能の向上に役立てているわけですね。測定前には、電極に触れる手足をウェットティッシュで拭くよう指示がありました。手足をきれいにして、できれば電解質を含む液で少し湿らせておくと、体組成はより正確に測れるそう。

 さらにアンケートに答えて、運動や喫煙などの生活習慣について回答します。ライターはトレーニングジムでの筋トレや有酸素運動を中心に多少の運動習慣があり、喫煙はなし。飲酒はかなり頻繁です。こうした基礎的なことを調べたのちに、いよいよヒューマンカロリーメーターの室内へ。心拍数計と加速度計を3カ所に取り付けます。この加速度計は今回の測定試験の重要な部分で、室内で過ごす間の身体活動(起床、机に向かっての作業、軽い家事作業)のエネルギー代謝を測るためのものです。

 そもそもなぜ、ヒューマンカロリーメーターで食事誘発性体熱産生がわかるのか、というと、すべては引き算によるもの。まず24時間のエネルギー消費全体から、基礎代謝にあたる部分を求めます。基礎代謝も厳密に測るには、12時間以上の絶食後、安静にした状態で測らなくてはなりません。ヒューマンカロリーメーター内では、食事は決まった時間に必要な分だけ差し入れられ、それを食べることになっていますから、間違いなく12時間以上絶食した状態で基礎代謝が測れるというわけです。

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