ますます競争力が問われる時代になり、仕事の効率化が急務です。ものづくりの現場では「もの」に着目して、その動きを記録し、可視化することでムダを見つけ出し、個々の作業を改善してゆくことができます。しかし、デスクワークを中心としたホワイトカラーの業務は、そもそも何を可視化すべきか悩ましいところです。ホワイトカラーの業務で、ものづくりの「もの」に相当するのは「情報」であるとし、その可視化の手法を説いているのが本書です。
「見える化」をはじめ「かんばん方式」「5S」など、トヨタ生産方式(TPS)から派生した仕事術をテーマとする本は数多くありますが、本書は特にホワイトカラーの仕事の見える化にフォーカスし、独自の概念とツールで取り組んでいるのが特徴です。著者は、矢崎総業でTPSの導入に携わった後に独立。韓国サムスン電子の業務改革指導などの経験をもとに、ホワイトカラーの業務改革支援ツールを開発したコンサルタント。本書は2005年に印刷物として発行された書籍の電子版ですが、今でも十分通用する内容になっています。
ホワイトカラーの業務を可視化するために、著者はまず一連の業務を「ワン業務」「ワンアウトプット」にまで分解することを提案しています。ワン業務やワンアウトプットとは、業務を「これ以上分解したら業務の目的が失われる最小単位」で、例えば経理部門の月次決算業務なら、「諸勘定科目明細の作成」や「資金繰表の作成」などがこれに相当します。仕事を最小単位に分解したら、次はプロセスを図式化して仕事の進め方をはっきりさせます。さらに、それぞれのステップを誰が担当し、管理者は誰かを確認します。
ここまで整理できたら、それぞれのワン業務やワンアウトプットの中身を30分単位で記録します。例えば、「電話で確認した」「転記した」といった内容を「日々業務記録表」にまとめ、集計して個々の業務にかけている時間を明らかにします。本書ではこの具体的な方法が詳説されています。
TPSによるものづくりの現場改善では、一つひとつの動作にかかる時間をストップウォッチで測定して記録する手法が知られています。著者が説く日々業務記録表の手法もそれと同じと言えますが、ホワイトカラーの業務ではストップウォッチなどを使う必要はなく、本人の申告で精度は十分としています。自分の仕事のスピードを測られるのはいい気がしないものですが、自己申告で十分なら実践はしやすいでしょう。





