ダイエットカウンセラー、栄養コンサルタントととして米国で活躍しているステップあやさん。自身、18年もの間“ダイエット地獄”に苦しんだ経験があり、その体験からぜひ働く女性たちに意識してほしいことがあると言います。「きれいになるために必要なこと」を聞きました。

ダイエットカウンセラー、栄養コンサルタント。1974年、埼玉県生まれ。ロサンゼルス在住。拒食や過食、過度な運動といった“ダイエット地獄”に苦しんだ体験から、現在の活動を行うように。対面で、あるいはネットを通じて、多くの人の相談に乗っている。ブログ「燃焼系ボディは食べて作る!摂食障害も克服!★ココ・カラ美人生活塾へようこそ★回」
――「やせてきれいになりたい」というのは、多くの女性に共通の望みですよね。
あや:「やせたい」と思う気持ちはよくわかりますし、そう思うのは当然だと思います。きれいになりたいし、「やせてきれいになった」とほめられたらうれしいですし。
でも、「やせる」といっても程度がありますし、そもそも「何のためにやせたいのか」を考えていただきたいのです。
私は、18年間、拒食症に苦しみました(そのときの経験については、こちら⇒「“ダイエット依存症”になってませんか?」)
いったん「ダイエットの負のループ」にはまるとなかなか抜け出せなくなるので、気をつけていただきたいのです。
どんなダイエット法がいいのか、探している人は多いと思います。でも、「こうすれば、△キロやせる」というダイエット法はありません。「どうしたらやせる?」を外に探している限り、やせません。
「自分に無理をさせる」ことは、うまくいかないのです。人間には「ホメオスタシス」(体の状態を一定に保とうとする働き。生体恒常性)がありますから、「無理」には体が抵抗するのです。だから、逆に言うと「瞬間的なお正月太り」は無理なダイエットをしなくても元に戻ります。
――そうは言っても、やはり「やせたい!そのために頑張らなくちゃ」と思ってしまいます。
あや:ひとつ認識していただきたいと思うことがあります。それは、「その人に合った体型は、遺伝で決まっている部分がある」ということです。身長がそうであるように。人それぞれ顔が違うように。だから、モデルのような体型がその人に最適というわけではないのです。個性が大切とされている時代のはずなのに、体型だけ個人差が認められず「細いことがいいこと」という風潮になっている気がします。
私は普段アメリカにいるのですが、今回に日本に戻ってきて改めて驚いたことがあります。それは、マネキンの足の細さです。細すぎです。女性が思い描く「理想の体型」がゆがんでいるように思います。
やせすぎは不健康ですし、「やせる必要のない体」はなかなかやせません。繰り返しになりますが、その人に合った体重があるのです。
やせる目的は何でしょうか。今より少しいい気持ちで過ごすために始めたつもりが、いつのまにか「ダイエットのために苦しむ生活」になってしまっては本末転倒です。
努力すれば結果は出るはず、と思うかもしれませんが、すべてがそうではありません。ダイエットは、頑張れば頑張るほど太りやすくなりかねません。先ほども言ったとおり、体が防衛本能としてやせるのを阻止しようとするからです。
でも、「やせた量=がんばり度数」になっているから、「努力が足りないんだ。もっと頑張ろう」と考えてしまいます。そして、「努力していないと認められない」と考えてしまう。これがこわいのです。
――確かに、頑張って食べる量を減らしているのになかなか体重が減らないと、「減らし方が足りない」と考え、もっと努力しようと思います。
あや:そうでしょう。最近は「食べないダイエット」ではなく「食べるダイエット」もありますが、これも上手に付き合わないと、体調を崩してしまいます。
例えば、「野菜を先に食べましょう」という「食べる順番ダイエット」。これがいけないわけではありません。問題なのは、たまたまそのときの食事に野菜がほとんど含まれていない、というときに、「野菜がないから何も食べられない」となってしまうこと。「ドライフルーツやナッツはおやつにいい」となると、「ほかのものは食べてはいけない」となってしまい、そればかり過剰に食べる。こうした極端な状態なるのがよくないのです。
食べたくて食べているわけではないので「おいしかった、ごちそうさま」という感覚がなくなります。そして、食べ物を「やせるか太るか」の観点でしか見られなくなります。
ダイエットは、一度やせたらそれで終わり、ではなく、維持しなければなりません。無理し続けないと維持できないことは、体が“防衛”しますから、続かないのです。
拒食症のときに過食になるのは、「脳の防衛反応がちゃんと働いている、ということ」と、横倉先生(共著で『心と体が軽くなる本物のダイエット』を執筆した医師)もおっしゃっていました。
食欲が抑えられないのは、あなたのせいではありません。やせないのは、あなたの努力が足りないからではありません。「当たり前のこと」なのです。食べてしまうのは、意思の弱さのせいではなく「生理現象」です。
――では、やせてきれいになるには、どうしたらいいのですか?
あや:必ずしも「やせる=きれいになる」ではないですが、「きれいになりたい」をかなえるために大切なのは、生活の中で“快”を感じることです。自分が“快”と感じないことは、自分に合っていないのです。
やせたいという人に、あえてお勧めしたいことがあります。それは、「体重計に乗らない」ということです。「測るだけダイエット」というものもありますが、大切なのは、それがよいか悪いのかでなく、自分に合うかどうか、です。体重計の数字に、気持ちや食欲が振り回されてしまうタイプの方は、思い切って乗らないほうがうまくいくことがあります。
ダイエットをしてはいけない、ということではありません。自分に無理をさせないで、「自分なりのきれい・幸せ」を目指していただきたいと思うのです。
ぜひ意識していただきたいのは、「食べたいときに、食べたいものを、食べたいだけ」食べること。逆に言うと、「食べたくないときに、食べたくないものを、食べたい以上に食べない」ということです。なんとなく口にする前に、「食べたときの味や食後の感覚」を想像してみてください。食べたいのか、本当は食べたくないのか、おいしそうか……。この感覚を大切に食べれば、むやみに食べ過ぎることにはならないでしょう(無理なダイエットをしてきた方、食べてきたものの幅が狭い場合は、まだこの感覚が分からなくても当然ですので焦らずに)。
いろいろなダイエット方法がありますが、何が正しいかと言う視点で情報を探すのではなく、自分に合う方法は自分で選択できるようになることが大切です。ポイントは、「自分が楽しいと感じる、快適だと感じる」ことです。必要なことは、体が食欲や快・不快の感覚で教えてくれます。ルールより、自分の感覚を大切にしてください。いらない情報は捨てる勇気、どんな情報であれ、振り回されるなら最初から近づかない決断も必要です。
※より分かりやすくお伝えするため、本文に多少の加筆をいたしました(1月25日。変更済み)
もう自分をいじめない!
『心と体が軽くなる本物のダイエット』
ダイエットカウンセラーと脳の専門家である医師が、「本当に健康にきれいになる」ための方法をアドバイスした本。「無理な食事制限や過度の運動で自分に無理をさせないで」と説き、ダイエットとどのように付き合っていけばいいかを具体的に紹介している。
ステップあや・横倉恒雄著/実業之日本社/1300円(+税)




