災害看護のスペシャリストとして、四川大地震などで活躍。
東日本大震災では“災害支援ナース”の派遣や福祉避難所の設置に奔走、被災地支援に力を尽くす
日本看護協会
看護研修学校 認定看護師教育課程
救急看護学科 主任教員
石井美恵子さん(49歳)
♕受賞理由
★東日本大震災の被災地への看護師派遣を取り仕切り、延べ3770人の災害看護を実現した、強いリーダーシップ
★四川大地震の支援では現地での活動をリードし中国からも高い評価を得るなど、国際支援における日本のプレゼンス強化に貢献
★臨床、理論、現場という多角的なアプローチで災害看護の専門性を磨き、後進育成に当たる

強い衝撃とともに私たちの心に刻まれた3月11日の東日本大震災。巨大津波が見る間に家や車、漁船や工場、そして人々をものみ込み、その後の余震も含め死者1万5840人、行方不明者3611人、建物全壊12万1653戸、半壊19万7495戸(11月24日現在警察庁調べ)と甚大な被害をもたらした。
発災直後、ピーク時の避難者数は47万人を超え、雪が舞う寒さで健康被害を訴える被災者も増えていった。そうした中、各地の避難所で被災者の看護に当たったのが、日本看護協会が派遣した災害支援ナース(※)たちだ。災害看護の研修や訓練を受けた看護師たちが、3泊4日で各避難所に派遣され、24時間態制で避難所に常駐し、被災者の心と体のケアに当たった。
その派遣の陣頭に立ったのが、日本看護協会看護研修学校の主任教員・石井美恵子さんだ。看護師、かつ救急看護を専門とする教員でありながら、石井さんは災害などの非常時に組織を一元的にコントロールして事態に対処する指揮命令系統「ICS(インシデント・コマンド・システム)」に精通した災害救急看護のエキスパート。大津波で甚大な被害が出た04年のスマトラ沖地震や08年の中国・四川大地震など、海外での災害医療支援活動の経験も豊富だ。
その経験を生かすべく臨んだ東日本大震災では、宮城県看護協会に現地対策本部を立ち上げ、現地のニーズを調査。派遣実務を進める一方で、派遣コーディネートマニュアルの作成や活動記録の収集システムの構築など派遣の基盤を整え、延べ3770人の災害支援ナース派遣を取り仕切った。
さらに同県石巻市では、要介護者のための「福祉避難所」の立ち上げに奔走。体育館をボードで仕切った仮設避難所にベッドや手すり付きの風呂を配備し、衛生的で機能的な環境を整備。避難所で寝たきりになっていた高齢者が自力でトイレに行けるようになるなど、効果は目に見えて表れた。
※災害時における医療と看護の提供に関する研修や訓練を受けた看護師。災害時にボランティアで現地に入り、看護活動を行う。各都道府県の看護協会に計6182人の登録がある(11年6月末現在)
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日経WOMAN 2012年1月号掲載記事を転載
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