――70社受けても1社も決まらない…
「ちょっと集まって」
――社長が声をかけてきたのは、昨年9月のことだった。
「会社の業績が悪いので、協力してほしいと言われました」と、律子さん(29歳・不動産・一般事務)は振り返る。勤務先は、社員3人の小さな不動産会社。その場で、額面18万円の月給を一方的に3万円カットすると言い渡された。同時に、正社員ではなく、パートタイマーの社員になってほしいとまで言われた。
「社会保険料がかからないし、ウチとしては楽になるから、と。それは困りますと必死に話をして、何とかパートタイマーの件は思いとどまってもらいましたけど…」
突然の給与ダウンに対して、理不尽だと憤りを感じつつも不況を背に強く出られると抵抗できなかった。
「いやなら今すぐ辞めてもらって構わないとあっさり言われましたね。ハローワークに求人を出したら、きみの代わりになる社員なんて一瞬で集まるんだからって」
同僚だった40代の女性事務員は、社長の“横暴”に激怒して即日、辞めた。けれど、律子さんはそうすることができなかった。





