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コラーゲンペプチドの健康機能性素材としての新たな可能性
「Nittaコラーゲンペプチド・シンポジウム2014」で報告

2015年1月13日

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 2014年10月29日、「Nittaコラーゲンペプチド・シンポジウム2014」が東京・ベルサール九段で開催された。コラーゲンペプチドの素材メーカー大手、新田ゼラチンが開催したもので、「コラーゲンペプチドの新未来」というテーマのもと、近年、急速に進んだコラーゲンペプチドの機能性に関する研究成果の発表や健康機能性素材としての新たな可能性について識者が講演した。シンポジウムでは、新たな機能性表示制度導入のもとでの健康機能性素材としてのコラーゲンにあらためて関心が高まっていること、また、美容だけでなくアンチエイジング素材として幅広い可能性があることが報告された。

コラーゲンペプチドの新未来に向けて、グローバルブランド「Wellnex」を立ち上げ
新田ゼラチン 執行役員 ペプチド事業部長 竹宮秀典氏

新田ゼラチン
執行役員 ペプチド事業部長
竹宮秀典 氏

 新田ゼラチンは、5年前の2009年に第一回のコラーゲンに関するシンポジウムを開催しました。当時はコラーゲンペプチドが美容素材として化粧品やサプリメントなどに採用され、「コラーゲンブーム」が巻き起こっていました。市場規模も2001年から10年間で4,000トン拡大しています。しかし、近年は成長が鈍化し、昨年は初めて業界全体の出荷額が減少に転じました。
 一方、佐藤健司先生(京都大学大学院)の研究によって2005年、摂取したコラーゲンペプチドはペプチド体として血中に長くとどまることがわかり、それ以来、コラーゲンペプチドに関する研究が急速に進みましたが、その成果は、まだ、一般には知られていないのが現状です。
 折しも日本では、新たな表示の規制緩和が始まります。新制度ではヒト試験によるエビデンスが重要とされており、当社ではそうした研究を積み重ねてきました。コラーゲンペプチドでは骨、関節などアンチエイジングに直結する分野で新たな研究成果が続々と生まれており、こうした情報をこのシンポジウムを通じて広く発信していきたいと考えました。
 今回のシンポジウムのテーマを「コラーゲンペプチドの新未来」としました。海外市場では美容を中心とした市場成長の兆しが現れており、当社では昨年よりグローバルブランドの「Wellnex」を立ち上げました。いまコラーゲンペプチドという健康美容素材には新たな可能性、新たな未来が生まれています。その可能性を科学的なエビデンスとともに世界に向けて発信していきます。

新しい機能性表示制度のもとで再注目されるコラーゲンペプチドの優位性

【講演I】「機能性表示食品制度の概要と企業の対策」
グローバルニュートリショングループ 代表取締役 武田猛氏
グローバルニュートリショングループ
代表取締役
武田猛 氏

 2015年4月に新しい機能性表示制度が導入されます。これは食品表示法上、保健機能食品の一部に位置づけられるもので、特定保健用食品と栄養機能食品と同列の扱いになります。可能な表示内容はトクホと同じく「保健の用途の表示」ですが、疾病リスクの低減は表示できません(図1)。また、国の個別審査を受けたものではない旨の表示も必要です。
 機能性関与成分の安全性確保については、安全性試験に関する情報の評価などが必要です。科学的根拠のレベルは、最終製品を用いた臨床試験と、最終製品または機能性関与成分に関する研究レビューが求められます。
 素材・成分に関する消費者アンケートの結果では、コラーゲンは認知度も効能理解度も高いのですが、女性では年代を問わず認知されているのに対し、男性は50代、60代で多くなるという違いがありました。これはコラーゲンが美肌成分と認識されているからと思われます。実際、美肌・肌ケアをうたう製品を原料別に見ると、コラーゲンが25%以上を占めて1位です。一方、骨と関節はグルコサミンの独壇場で、コラーゲンはどちらも7%程度しかありません。コラーゲンも骨、関節、筋肉などの新しいエビデンスに基づいて表示できれば、男性高齢者など従来と異なる客層を開拓でき、市場が活性化する可能性は十分あると考えます。


図1●新制度の位置付け
(グローバルニュートリショングループ・武田猛氏の講演資料より)
[画像のクリックで拡大表示]

今後の研究で望まれるコラーゲンと老化防止のメカニズムの解明

【講演II】「アンチエイジングにおける糖化と抗糖化 ~コラーゲンとの関わり~」
同志社大学大学院 生命医科学研究科 アンチエイジングリサーチセンター 教授 米井嘉一先生
同志社大学大学院 生命医科学研究科
アンチエイジングリサーチセンター
教授 米井嘉一 先生

 アンチエイジング、つまり抗加齢医学は、老化のメカニズムを研究し、その成果を老化予防に役立てることを目標にしています。老化とは、体が酸化作用で「さびる」、ホルモンの減少で「しぼむ」、タンパク質と糖が反応する「黄ばむ」などが起こってくる現象です。今日のテーマである糖化は「黄ばむ」に当たります。
 糖化とは、血液中の糖が体内のタンパク質とさまざまに反応し、「糖化最終産物(AGEs=Advanced Glycation End Products)」を生成することをいいます。糖化ストレスは酸化ストレスと並ぶ老化の重要な危険因子です。
 AGEsは黄褐色をしており、黄ばみの成分です。皮膚にたまれば肌の黄ばみの原因になり、皮膚のコラーゲンにたまれば皮膚が硬くなります。赤ちゃんの肌が柔らかいのはコラーゲン線維が自由に動けるからですが、糖化すると架橋形成して動かなくなります。ですから、加齢とともに肌が黄ばんで弾力性を失うのです。また骨のコラーゲンはもともと架橋形成されていて、だから骨は硬いのですが、AGEsがたまると病的で弱々しい悪玉架橋になり、折れやすくなります(図2)。


図2●糖化の肌・骨への影響
(同志社大学・米井嘉一教授の講演資料より)
[画像のクリックで拡大表示]

 AGEsは加齢により増えますが、個人差があります。AGEs増加の最大の原因は、喫煙、飲酒、お菓子の食べ過ぎ、睡眠不足などの生活習慣ですから、これらを改善することが大事です。
 我々の研究室ではAGEsの生成抑制や分解促進に役立つ機能性食品の研究に取り組んでいます。近年の研究で、コラーゲンの代謝にペプチドが深く関わっていることがわかってきています。今後の研究を通じて糖化との関係についても更に明らかになっていくことを期待しています。

コラーゲンペプチドは、細胞組織の再生・修復、代謝で重要な役割を担う

【講演III】「コラーゲンペプチドの循環系と細胞への取り込み」
京都大学大学院 農学研究科 応用生物科学専攻 教授 佐藤健司先生
京都大学大学院 農学研究科
応用生物科学専攻
教授 佐藤健司 先生

 コラーゲンは三重らせん構造のタンパク質で、人間は消化できませんが、加熱すると構造が壊れてゼラチンになるので簡単に消化できます。ゼラチンが酵素で分解されてできるのがペプチドです。代表的なコラーゲン特有のペプチドには、アミノ酸のプロリンとヒドロキシプロリンが結合したプロリル・ヒドロキシプロリン(Pro-Hyp)があります。
 従来の栄養学では、ペプチドはアミノ酸になって吸収されるとされていました。しかし、我々が十数年前に行った試験で、コラーゲンペプチドを飲むと、ペプチドのままかなりの量が3時間たっても循環系を移動していることが明らかになりました(図3)。食べても効かないと言われていたペプチドが、血液中で活性を持つ可能性が出てきたのです。


図3●コラーゲンペプチド摂取後のPro-Hypの変化
(京都大学・佐藤健司教授の講演資料より)
[画像のクリックで拡大表示]

 コラーゲンを構成する線維芽細胞は、けがをすると傷口に集まり、コラーゲンペプチドを合成して傷を塞ぎます。そこにPro-Hypを入れると、線維芽細胞が2倍ぐらいに増えます。
 また、コラーゲンに結合している線維芽細胞はほとんど増殖しないのですが、Pro-Hypを入れると増殖が始まります。実際にコラーゲンペプチドを食べると、増殖が促進することも確かめました。さらにマウスの実験で傷が治っているとき、その組織にPro-Hypができることがわかりました。これは炎症部位でも同じようなことが起きています。
 線維芽細胞は、創傷治癒部位ではコラーゲンペプチドを取り込み、増殖促進が生じますが、分裂を繰り返すとその能力を失い過剰な増殖が抑制されこともわかってきました。
 食事由来のコラーゲンペプチドについても、生命現象のなかで繊維芽細胞等に働きかけ、組織の再生・修復、代謝の過程で重要な役割を果たしていると考えることができると思います。

(竹本和代)

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