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執着、嫉妬、男友達…友情を描いた2冊

2014年7月3日

辻村深月『盲目的な恋と友情』/千早茜『男ともだち』

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 ある朝、スマホに着信がありました。画面にはAちゃん(友人)の名前。「あ、なにかあったな」と思い、すぐ電話に出ました。Aちゃんとは高校時代からの付き合いです。

 知り合ってからかれこれ二〇年以上、お互いに忙しいと一年近く会わない時期もあるのですが、電話一本で高校時代の関係性に戻ります。この日はAちゃんの悩み事相談でした。

 しばしAちゃんの話を聞いてから、自分なりの考えを伝えました。電話を切ってから、かつて自分が問題を抱えているとき、Aちゃんに電話したことを思い出しました。

 楽しいときばかりではなく、困ったときこそ必要なのが友だち。自分ひとりで抱えるには重すぎる問題を聞いてもらえるありがたさ、相談できる相手がいるという心強さ、友だちとは、かけがえのない存在だと実感します。

 その反面、友だちはあまり依存しすぎるとよい関係を続けていけなくなる危険がある。今回は、そんな友だちをテーマにした本を二冊紹介します。

辻村深月著『盲目的な恋と友情』(新潮社)。

 女特有のコンプレックス、嫉妬、自意識……思わず目を伏せたくなるのに、読まずにいられない。辻村さんの筆にはそんな力があります。

 本書には盲目的な『恋』と『友情』という二篇の小説が収められています。

 『恋』の主人公は大学生の蘭花。彼女が恋した相手は茂実星近。蘭花の大学の管弦楽団に迎えられた指揮者の星近は美形でスマート、楽団の女子の憧れの的でした。そんな彼と蘭花は付き合うことになりますが、やがて星近の意外な過去を知ることに。星近との交際を周囲に反対されるのですが、どうしても踏み切れません。

 『友情』は蘭花の親友・留利絵の視点から描かれます。子どもの頃から美形の姉と比べられ、コンプレックスから逃れられないまま大学へ進学した留利絵は、容姿端麗な蘭花と知り合い、友情を育みます。

 星近と別れられず苦しむ蘭花に留利絵が言います。

「私にもみんなにも反対されてるのに茂実さんに執着してるのは(中略)蘭花ちゃん自身の欲のせいだよ。好きだからって言うけど、『好き』って気持ちはそんな、何もかもより一番偉いの?」

 好きな相手を「支配」しようとする感情。それは「恋」と「友情」のどちらにも作用するのかもしれません。

 『恋』の章では見えなかった部分が『友情』の章で明かされる。そしてその逆もある。最後に「あぁ」と思わず声が漏れてしまうような展開にしびれました。

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Profile
中江 有里
中江 有里
1973年大阪生まれ。89年芸能界デビュー。 2002年「納豆ウドン」で第23回BKラジオドラマ脚本懸賞最高賞受賞。 NHK-BS「週刊ブックレビュー」で長年、司会を務めた。 近著に「ホンのひととき 終わらない読書」(毎日新聞社)。 現在、NHK「ひるまえほっと」‘中江有里のブックレビュー’に出演、 関西テレビ「スーパーニュースアンカー」、フジテレビ系「とくダネ!」にコメンテーターとして出演中。新聞や雑誌に読書エッセイを連載中。書評も多く手がける
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