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静かな空間に包まれる秋に選びたい2冊

2013年9月2日

朝井リョウ著『世界地図の下書き』/小路幸也著『娘の結婚』

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 まだ日差しは強いけど、気になるのは秋の装い。ウインドウに並ぶ長袖、ニット姿のマネキンをうっとり眺めています。

 秋は読書の季節。しかしどうして秋は読書の季節なのでしょうか?

 気分も洋服も通気性重視! の夏から、一枚また一枚と重ね着する秋に近づくと、心も薄い膜を重ねていくのかもしれません。まるで繭にくるまれていく蚕のように。

 開放的な夏から、ひとり静かな空間に包まれる秋へ。読書にふさわしい季節のはじまりに、おすすめの2冊を紹介します。

朝井リョウ著『世界地図の下書き』(集英社)。

 戦後最年少で直木賞受賞した朝井さんの最新長編小説。子ども達が何かを一心に見つめる表紙のイラストが印象的。ある児童養護施設での暮らしが描かれています。

 主人公の大輔は小学3年生の時、両親を自動車事故で失い、一度は親戚に引き取られますが、虐待されて児童養護施設に預けられることに。

 大輔が施設に入って覚える不安。ふいにジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』のことを思い出しました。見知らぬ大人に囲まれた大輔の体はとても小さく感じる。小人のアリエッティが人間に出会ってしまったときのように。彼の心細さが伝わってきます。

 大輔と同じく、それぞれの事情でここにいる子どもたちは少しずつ団結していきます。中でも年長の沙緒里は、大輔の属する1班のまとめ役で、面倒見の良い中学3年生。彼女にほのかなあこがれを抱く大輔。やがて3年の月日が経ち、沙緒里が施設を出る日が近づいてきます。

 沙緒里を送り出すために、ある作戦を立てる大輔たち。作戦をめぐって大輔たちは自分たちの無力を知り、それでも諦めず自分たちの手で作戦を成し遂げようとします。

 ある意味守られた施設を、いつかは出なくてはならない。ずっとこのままでいられない、という現実。沙緒里のための作戦を通じて、子どもたちはそれぞれに自分の行く先を考え始めます。

 表紙の子どもたちが見つめるのは、自分たちの人生の行く先にある希望。力強く、まっすぐに生きようとする子ども達に胸が熱くなりました。

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Profile
中江 有里
中江 有里
1973年大阪生まれ。89年芸能界デビュー。 2002年「納豆ウドン」で第23回BKラジオドラマ脚本懸賞最高賞受賞。 NHK-BS「週刊ブックレビュー」で長年、司会を務めた。 近著に「ホンのひととき 終わらない読書」(毎日新聞社)。 現在、NHK「ひるまえほっと」‘中江有里のブックレビュー’に出演、 関西テレビ「スーパーニュースアンカー」、フジテレビ系「とくダネ!」にコメンテーターとして出演中。新聞や雑誌に読書エッセイを連載中。書評も多く手がける
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