「あの上司とは折が合わない」「あの部下はいつも何考えているんだか…」
職場で人間関係に悩んだことはありませんか? 価値観や環境が異なる人が同じ職場で働いていると相手の
気持ちになって考えるというのはなかなか難しいもの。そんなときに心強いのがエニアグラムという性格分析。
生まれ持つ気質をベースに9つの分類で自分や周りの人の傾向を的確に理解できるのです。この連載では、
米国エニアグラム研究所の日本支部副代表の高岡よし子さんが、エニアグラムを使って
自分だけでなく、周囲の可能性も最大限に活かす方法をお伝えしていきます
前回は、9つのタイプ別に、仕事のスタイルや適性について、取り上げました。今回は、タイプの違いを踏まえた上で、どのようにしたら相手の可能性を引き出し、チームのポテンシャルを高めるようなコミュニケーションができるかについて、お話しましょう。

可能性を引き出す関わり方
現在、マネジメントにおいては、自ら考え、自ら動く部下を育てるために、指示命令型のリーダーシップだけではなく、可能性を引き出すような関わり方が重視されるようになっています。
「可能性を引き出す」とはどういうことでしょうか? コーチングにおいては、適切な質問を投げかけながら、思考の幅を広げたり、考えを明確にしたり、掘り下げたり、行動変化につながるような気づきを促します。そうした関わり方の中で、目標達成までを支援していくのです。エニアグラムは、9つのタイプ別に、コーチングのしかたを具体的に提案しています。その中で、下記の3つのポイントが重要になります。
1.自己理解
自分自身の傾向性を把握することで、自分の価値観ややり方を押しつけないようにする必要があります。
2.他者理解
性格の傾向性、とくに「動機」を踏まえて関わることが重要です。その人の意欲が高まる動機とは何かを理解し、それをサポートしていくのが、能力を発揮してもらう上で、非常に効果的です。
下記のリスト、「各タイプの可能性を引き出す関わり方」では、9つのタイプ別に、動機を踏まえてどう関わるか、詳しく説明していますので、ご覧下さい。
タイプ診断については、第一回のコラム記事をご覧下さい。タイプを確定できなくても、さまざまな可能性の引き出し方があることを理解でき、仕事に役立てていただけるでしょう。
3.チームのバランス
チームのマネジメントにおいては、異なる性格のバランスを考える必要があります。多様性があることで、チームに活力が生まれますが、もし傾向性が似たメンバーどうしであれば、意識的に、欠けている要素を補う必要があります。
たとえば、新商品開発に携わる、あるプロジェクト・チームの場合(細部は変更していますが、実話です)。リーダーはタイプ3(達成する人)で、彼女を補佐していたのは、タイプ5(調べる人)とタイプ1(改革する人)でした。タイプ3の人は、「やればできる!」とヴィジョンに向かって、みんなを引っ張る人で、タイプ5は、詳しい商品知識をもっています。タイプ1は、プロジェクトを進めていくに当たり、全体を見て、押さえておくべき点や改善する必要のあるところを確認し、クオリティの高い商品が生まれるよう、気を配ります。ただ、この3つのタイプはいずれも、合理的な傾向性が強く、作業はサクサク進みますが、この3人が中心で動いている内に、チーム全体の雰囲気はドライな感じになってきました。ちょうどその時、タイプ7(熱中する人)の新しいメンバーが投入されます。彼女は明るい雰囲気の人で、全体のムードメーカーとなり、チームは、プロジェクト立ち上げの際のワクワクするような気持ちを思い出すことができました。また、タイプ6(信頼を求める人)が、プロジェクトがどんどん進む中で感じていた不安について話すことができ、メンバーどうしで、もっと腹を割った話ができるようになりました。そして、みんなの気持ちがひとつになったように感じたのです。
それぞれ能力をもったメンバーからなるチームが、性格の違いからくるすれ違いや不和を越えられず、十分力を発揮できないとしたら、大変もったいないことです。お互いの違いを活かし合うことで、それぞれの能力の総和以上に、チームのポテンシャルが高まります。エニアグラムは、そのための具体的な処方箋となってくれます。ぜひ役立てていただければと思います。




